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答え

院長は少し考えるようなしぐさをとった後、わかったと頷いた。


「住所を教えるかわりに、わしも連れて行ってはくれないか?」


それは有り難いと、二つ返事で答えた。


すぐに車に乗り込み、院長に案内をしてもらい走らせた。


さほど遠くはなかったようで、二十分ほどでたどり着くことが出来たのだが


時刻は22時を少し回っている。


働いていた頃にこんな時間に訪ねたならば、上司からお怒りをもらったことだろう。


伊崎さんの家はなかなか大きく、俺の家と大きさは大して変わらなかった。



院長が呼鈴を鳴らすと、伊崎さんの奥さんが玄関に出てきた。


まだ俺が出張るのはおかしいタイミングなので、後ろに控えておく。


「こちらの方が・・?」


お、俺のことか?


しばらく話しを聞いていると、俺に話が振られたので質問に対して答えていく。


そうこうしていると、奥さんの後ろから娘さんが現れた。


改めて訪れた理由と、薬の内容を説明した後に四人で病院へ戻った。


伊崎さんと軽く会話した後に奥さんから


ぜひ薬を使って欲しいとの答えをもらった。



「では、すぐに飲んでもらいましょう。もし、心配なら俺が先に飲んでみてもいいですが・・・。」


そう言うと、伊崎さんが手を振りながら止めに入った。


「いえ、このまま放っておけば何れ朽ちる命ですので。」


こ・・・言葉が重い・・・。


当然といえば当然なのだが・・・うーん・・・。


「伊崎さん、生きる事を諦めてはいけませんよ。とても生き辛い世界ではありますが、あなたには家庭があるじゃないですか。生きる理由がある限り、人は生を諦めてはいけません。」



おお、院長が怒った。


この空気・・・どうしよう・・・。


「とりあえず飲んじゃいましょう?ほら、グイッと!」


空気読めと言われても仕方が無いくらいのテンションで伊崎さんに試験管を持たせる。


もちろん栓は抜いた状態でだ。


「はは、ありがとうございます。では失礼して・・・。」


ぐっと一気に煽る伊崎さん。


すると伊崎さんの身体が少しの間、白い光に包まれた。


光が消えた後、伊崎さんの身体が、急速に回復していった。


目に見てわかるほどにだ。



「これは・・・。」


院長が何か呟いたが、俺も同じような反応をしているのだろう。


肌に張りがでて、目の周りの窪みが無くなっていく。


骨のような身体も、少しずつだが肉が付いていった。


「へえ、伊崎さんって結構ガタイが良かったんですね。」


俺の呟きにハッと反応し、伊崎さんが自分の手を見て頷いた。


「院長先生、少し立ってみてもいいですか?」


伊崎さんの問いに、院長は頷く。


手を貸そうかと問いかければ、大丈夫だと思いますと返ってきた。



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