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孤児院

看護師さんが頷くのを見て、俺は内容を話す。


万能薬の事はまだ言わないが、ストレートに行ってみよう。


「この病院の先生とお話したいのです。」


言葉足らずだと自覚はしているが、ダメならそれでもいい。


「先生ですか、今手のあいている先生に連絡してみますね。」


「え、いいんですか?」


「ええ、冗談や冷やかしではないようですし。先生の都合があえばですけどね。」


ありがとうございます、と頭を下げてお礼を述べる。


「いえ、気になさらないでください。」


これも仕事ですから、と笑う看護師さん



椅子に座り十分ほど経って、看護師さんから声が掛かった。


「井出さん、すみません・・・あの。」


申し訳なさそうに顔を伏せる看護師さん。


話を聞くと、手のあいている先生は数人いたが


よくわからない男と話すことなど無いとのことで。


「まあ、当然ですよね。」


俺でも同じ言葉で返すと思うし、これは仕方が無いだろう。


ペコペコと何度も頭を下げてくる看護師さんに、いえいえと何度も返す俺


それも、背後から投げかけられた声によって終ることになる。



「ん?水野君、どうかしたのかね?」


背後からかけられた声は老人のものだった。


「あ、院長先生!おかえりなさい!」


「ああ、ただいま。何か話していたようだが、何かあったのかね?」


「ええ、実は・・・」


看護師さんが今までの経緯を、院長に話している。


そして、おれはそれを横で聞いて頷いている。


「ふむ、話をしたいと。それは病気に関しての話かな?」


うーん・・・病気に関係はしているが病気そのものではない。


なんと答えたものだろうか。



悩んでいても仕方が無い、一息ついて声を出す。


「特定の病気ではないのですが、病気という枠組みならば関係があります。」


うん、これでいだろう。


「なるほど、ではわしの部屋に行って話を聞こうかの。」


ありがとうございました、と看護師さんに頭を下げ


歩き出した院長についていく。


「この病院はね、孤児院も同時に運営しているのだよ。」


歩いてる間に交わした話によると、先程の看護師


水野さんは、その孤児院の出身とのことだった。



「お、着いたな。職員達ももっと気軽に話しかけてくれればいいのだがな。」


はぁ、と溜息を吐く院長。


「さ、どうぞ。」


扉を開き、ソファへと促されたのでそれに従う。


「では早速聞こうかな?何かお願いしたいという話だったが・・・」


院長の目は、先程までの穏やかなままなのだが


僅かな威圧感が放たれていた。


ごくりと喉を鳴らし、ではさっそくと吐き出しポーチから万能薬を取り出した。


「これの説明をする前に、この病院に末期のガン患者はいらっしゃいますか?」


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