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提供

レベル:43 HP:21/420 技能:鑑定 幸運(微)


レベルが三つも上がっている。


二層では、未だヘビ以外の魔物は見かけていない。


イモムシのように隠れている可能性もあるので、今後の探索はもっと用心深く行こう。


部屋に戻ると、ポーチの中からヘビの落としたアイテムを出していく。


タンクスネークの皮:光沢のある緑色の鱗に覆われた丈夫な皮


タンクミート:タンクスネークの肉


「んー、ぱっとしないけど食材が含まれてるならいいのかな?」



写真を撮り、SNSに本日の成果としてアップロードした。


当然、万能薬のことは伏せてある。


当初の予定から外れ、十倍近く手に入ったが


これは公表していいものではない。


病に罹り、それを治したいと思う人など世界には沢山いる。


俺は俺の手の届く範囲だけ守れればそれでいいのだ、薄情と思われるかもしれないが


そう言われるならば甘んじて受け入れる。


だからといって、全てを手元に置いておくつもりもない。


十本だ。


十本だけ提供しよう。



陽が落ちて、月が昇り始めた頃


俺は街の大きな病院の前に立っていた。


今までは、常に誰かを経由しての取引だったので


俺が直接出向いて行くことは無かった。


緊張する。


手には汗が滲み、心臓の音が聞こえてくる。


当然だ、俺が今からしようとしているのは人の運命を左右する実験なのだ。


かなりの高確率で完治させることはできるだろう。


だが、それが失敗する可能性だってゼロではない。


この行動だって悩んだ結果だ。


例え助けても俺にいいことなどあまり無いしな。



そもそも助けた所で対価を貰うつもりも無ければ、救世主になるつもりも無い。


老衰のように、どうやっても助からない命は確実にある。


生き物である以上、それは絶対に避けては通れない。


自ら死にたいと願っている人も居るだろうし、手当たり次第に飲ませるほど数は無い。


開く扉が重く感じる。


「こんばんは、あの・・・」


どう伝えたものか、言葉が詰まってしまった。


「はい、本日はどうなされましたか?」


よかった、看護師さんが話をつなげてくれた。



「あ、いえ。病気ではないんですが、少しお聞きしたい事とお願いしたいことがありまして。」


「お願い・・・ですか?」


先程までとはうって変わり、怪訝な表情で俺を見る看護師さん。


やめて!!そんな目でみないで!!


でもありがたい、少しだけ緊張が解けた。


「ああ、すみません。俺は井出聡って言います。」


「あ・・はい。それでお話とは何でしょうか?」


うっ・・・まだ警戒されているのかな?


「無理でしたら遠慮なく言ってくださいね。」




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