蜂蜜
最後は発炎筒1つと毛布を背負い、ポーチに釘とトンカチを仕舞い降りる。
逃げたときもだが、1階層には何も現れなかった。
2階層に降りてもモフモフは見当たらない。
あのモフモフは夢だったのだろうか?
部屋の配置が変わった様子もなく、問題のハチの巣部屋には楽にたどり着けた。
「反撃開始だ!」
そう呟くと、蜂の巣部屋へ続く通路の入り口に毛布を固定していく。
釘が刺さるか懸念はしていたが、問題なく打ち込めた。
「ふぅ、後はコイツだな!」
毛布のカーテンを潜り、慎重に藁束を投げ込んでいく。
結構な量ではあったが、問題なく全て放り込めた。
発炎筒をこすり合わせ
「ふぁいあー」
と小声で呟き投げ込んだ。
当然藁束に引火し、煙が出る。
俺はその内に急いで毛布の反対側に出た。
効果があるか分からないのだが、ハチなら煙で死ぬだろうという安易な発想からの復讐計画。
俺はそれから数時間の間、別の小部屋を探索しながらモフモフを探すことにした。
モフモフに会いたい、ただそれだけなのだ!
モフモフの探索を開始して2時間弱
壁と床を半分ずつ抉るように穴が空いていた。
ここまでの道順をメモ帳に記し、ハチの巣部屋に戻る。
煙作戦の効果は絶大だった!
地面には13匹の巨大なハチが転がっていた。
消えていないことからまだ生きていると考え、ツルハシで光にしていく。
落ちているアイテムに鑑定を掛けると
花粉だんご:花粉を蜜で丸めたもの
キラーワスプの大顎:キラーワスプの強靭な顎
「また使い勝手の悪そうな・・・」
後は残された蜂の巣の破壊だ!
恐る恐る巣を破壊していくが、中から何かが飛び出てくることはなかった。
どうやら巣もモンスター扱いになっているらしく、しっかりとアイテムを落として消えた。
蜂蜜:ハチが集めた植物の蜜
「よし!後で試食してみよう!」
巣が壁面にびっしりと張り付いていたので、ドロップが1つと思いきや
なんとその数142本!
やっと出てきたまともな食材なのだ、嬉しくないはずがない。
特に巣が通路を隠していたわけでもなかったので、先程メモした穴の場所へ足を運んだ。
穴の位置に戻ってみたものの、特に先程と変わったようなことはなかった。
何かの巣穴と考えるのが自然なのだが、ここはダンジョンだ
慎重にいこう。
俺は毛布を畳み、その上にツルハシを置いて動かないように釘で固定した。
そして穴に向かい発炎筒を
「ふぁいぁー」
投げ込んだ。
カンッコンっと音を鳴らし落ちていく音が聞こえる。
そして数秒の後、地鳴りのような物が聞こえた。
ゴゴゴゴゴゴゴと鳴らしながら明らかにこちらへ向かってくる音に警戒する。