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万能薬

手早く包丁を抜き取り、イモムシの後ろに回って切りつける。


キィー!と甲高い鳴き声を上げ、光となって消えていくイモムシ。


「はあ、助かった・・・。」


あのイモムシを発見できずに、あちらから襲い掛かられていたらと考えると背筋に嫌な汗が流れる。


油断はしていないつもりだったのだが、やはりどこか甘く見ていたのだろう。


深く深呼吸をし、イモムシが落とした小瓶を拾い上げる。


万能薬:一瓶飲めばどんな病気でも完治する薬


「はあ?」



ここでこんなものが出てくるのか・・・・


説明を見る限りでは、怪我は治らないようだが


それでも破格の性能だろう。


一階層の攻略を再考する程の価値は十分にある。


「よし、決めた!少なくともあと九本集めたら二階層へ行こう!」


村の住人と俺の家族の分だけは確保しておきたい。


俺が少し頑張れば、手に届く範囲の大切な人達との時間を長引かせることが出来るのだ。


頑張らないわけにはいかないだろう。


俺はすぐに家に帰ると、念のために万能薬を冷蔵庫に保管した。



まだ外も明るいので、スターメロンの収穫を始めた。


一玉が大きく、ずっしりと重い。


身体能力は強化されているので、片手でも楽々持てるのだが


それでも片手で持つことを躊躇ってしまう。


収穫を終え、五つに切り分けておやつにする。


「レイズはまだ帰ってきてないか。」


一つはしまっておこう。


パソコンを立ち上げると、石川さんからメッセージが飛んできていた。


内容は虹水晶の公開生放送の日取りが、翌々日に決まったということだった。



なんでも、テレビとインターネットで同時に放送するそうだ。


おお、これなら俺も観れるな!


石川さんと古谷さんは従業員と一緒に、現地で観るとのことで


そのために、今日から三日間お店を閉めるのだとか・・・。


いつもなら走ってきそうな石川さんがメッセージを飛ばしてきたのはそういうことだったのか。


それならと、俺も気合を入れて再び階段を下りていく。


万能薬を集めきることが目的だが、鉱石粘土もついでに集めておきたい。


だが、下りたばかりの部屋にはコウモリしかいなかった。



「スターアイは余るほどあるんだけどな・・・」


全て倒し終わって、両腕で抱えてもあふれるほどのスターアイ


とりあえずポーチにザラザラと流し込み、次の部屋へと向かう。


だが、その通路の途中でゴポゴポという音が聞こえ始めたのだ。


「きたかな?」


その音に近付くにつれ、音が増えていく。


だが、通路の先は何もない空間だった。


警戒し、凝視していると先の景色が歪んだ。


「これはまた・・・」


大量のイモムシが積み上げられた、懐かしいイモムシ部屋だったのだ。


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