新規オープン
何でも、プラムに襲われたことで犯人達は心的外傷後ストレス障害にかかってしまったのだとか。
普段なら申し訳ない気持ちでいっぱいになるが、この一件は許されない。
犯人の親族が裁判に持ち込むという話もあがったようだが、世間はそれを許さなかった。
その理由が
ダンジョンで入手されたアイテムの強奪が重罪だというところにある。
これはダンジョン出現時に公表されたものだが
今まで有用なアイテムが入手されなかったので、処罰が下るような事件はなかった。
今回の事件が初めての事件だったのだ。
しかし、重罪といっても死刑にはならない。
実質それに近いものではあるのだが・・・・
それは、新しく発見されたダンジョンの捜索隊に強制的に組み込まれるというものだった。
単純に人手が足りないことと、ダンジョンが今も続々と見つかっているため
場所を把握するためのチームを組んで、モンスターによる被害を食い止めようということである。
当然、今回の犯人達はその組織に組み込まれることになった。
「そういえばパソコン使ってないな・・・」
「ん?どうかしました?」
よし、今日は動画の編集をしようか。
「それでは俺はこの辺で失礼しますね。」
駐車場に車が一台はいってきたので、古谷さんに挨拶して翠に跨る。
家に着くと、すぐにパソコンを起動して参考書を読む。
画像は取り込んだものから選別するので問題はないが、動画に関してはそうはいかない。
容量が大きいため、いらない所は削除していかないといけないのだ。
難しいのではないかと不安ではあったが
特殊な加工でもしない限りは、切ったり貼ったりする程度でいいようだ。
画像のアップロード先だが、石川さんに相談した結果
ホームページを作るわけではなく、SNSを利用する事を薦められた。
リアルタイムで情報が流れるため、情報収集も兼ねての利用だ。
さっそくフリーメールを利用し、SNSに登録する。
「うん、こんなものか。」
画像を四枚アップロードし、紹介文と共に軽く挨拶を混ぜる。
画像は言うまでもなく、うちの子達だ。
SNSでの俺のは、探索者Sという名前にしてある。
俺の名前の頭文字を取ったかたちだが、変に凝るよりはいいだろう。
このSNSには、石川さんも古谷さんも登録していると聞いているので
検索をかけて友達登録しておいた。
メッセージを送っておけば、あとは見てくれるだろう。
古谷さんの最新の呟きには、ミュータントベリーが復活したことがかいてあった。
星型の花壇の中央に、同じく星型の果実が実る薄く光る樹と
その周りに増殖したミュータントベリーが茂っている画像が添えられていた。
石川さんの最新の呟きは、旅館の新規オープンのことだった。




