モフモフ
アイテムを置きに家に戻り、もう一度階段を探しに向かう。
レベル:2 HP:25/25 技能:鑑定
あの後、数匹のコウモリを打ち倒すとレベルが上がったのだ。
「はぁ、もうちょっと心の準備をする時間がほしかったんだけど・・・」
人生とは想い通りに行かない物だとしみじみと思う。
だが、そんなものいくら考えても時間を浪費するだけなのだ。
再度踏み込んだダンジョン内は、相変わらずリセットされていた。
探索を開始して程なくして階段を見つけた。
覚悟を決めて階段を下りていくが、この階段はあまり長くないようだ。
ふと思い出し、腕時計を照らし時刻を確認する
15:23だった。
「よし、何かあったら戻ろう。何もなくても20時になったら帰ろう!」
階段を下りきって天井を照らすが、そこには何もいなかった。
そのまま床を照らしてみると、そこはモフモフのパラダイスだった。
「モフモフだー!!」
逃げられた。
蠢くモフモフが沢山いたのは分かるのだが、鑑定をする前に叫んでしまった。
「失敗した・・・失敗した!くそぉ!!」
落ち込んだ気分のまま探索を続けるが、一向にモフモフは見当たらない。
だが変わったものなら何度か見かけた。
蜂の巣だ、それも大きな。
壁面にびっしりと・・・
「嫌な予感しかしねぇ・・・」
ブーン ブーン
「ほらみろ、やっぱきやがった!!」
ブーンブーンブーンと羽音を鳴らしながら飛んでくるのは巨大な蜂
明らかにサイズがおかしい、蜂の巣よりも大きいのだ。
「は・・・はは・・・」
苦笑いをこぼしても現状が変わらない、俺は逃げた。
「危なかったー!でかすぎるだろ!!」
人間サイズの蜂が大量に襲ってきたのだ、怖くて当然だ。
逃げる途中もモフモフは視界に入らなかった。
ここまでくると、時計は19時を指していた。
「はぁ、ちょっと早いが仕方ない。今日はここで止めだ!」
ぼすんっ!と音を鳴らし布団に倒れこんだ
逃げた際の疲労と火照ったからだに冷たい布団が心地よい。
もうちょっと
もうちょっとこのまま倒れておこう。
徐々に眠りの中へ落ちていく、明日は蜂を退治しようと心に誓いながら。
目が覚めてからすぐに風呂に入った。
着替え、買い物に向かう。
そうだ、今日は蜂を殺すのだ!根絶やしにするのだ!
買うのは藁束だ、幾つか納屋にもあるが、それだけじゃ足りなかった。
お財布と相談して追加で20束と、発炎筒を購入。
後は投げ込むだけだ。
「ぐぅ・・・おもい・・・」
いつもの装備だけでもそこそこ重いのだが、新しく持ってきたものも含めるとかなり重い。
ダンジョンがリセットされるとどうしようもないので、階段の上から藁束を蹴り落としていく。