三週目
「ちょっとだけ豪華・・・かな?」
箱も今までの木箱ではなく、金色や銀色の装飾がついている。
そろりと近づき、ゆっくりと蓋を開ける。
ギィっと重い音がしたが、レベルによって強化されている今の俺の身体には
たいした負担にはならなかった。
「ん?なんだこれ?」
宝箱の中には、拳と同じサイズの泥ダンゴが3つ入っていた。
「んー・・・あ、そうだ」
合成樹の種:成長すると洞ができ、同時に三つまでのものを合成できる。
「なるほど。」
とりあえずポーチへしまっていくと
三つ目を取り出したところで宝箱が消え、蓋にはまっていたビー玉だけが残った。
カラン、コロコロコロ
「いや、ぞんざい過ぎるだろ!」
つっこみながらもビー玉を三つとも拾うと、以前のように家に戻ってきていた。
「やっぱり戻ってきたか。で、まだ階段があるってことはそういうことだよな。」
少し悩んだが、合成樹の種を庭に植えて一階層を覗きにいってみる。
「なんだこれ・・・」
階段を下りた先は、以前とは全く異なる世界だった。
一階層の壁や天井が輝いていたのだ。
真っ暗なはずの一階層だが、まるで小さな宇宙のような
そんなイメージが浮かんだ。
暫く眺めて居たかったが、それは許してもらえないようだ。
見つめていた光点が急に動き出し、こちらに向かってきた。
ただの光点に紛れていたモンスターが動き出したのだ。
スターアイズバット:青白い光を発する瞳を持つコウモリ
「コウモリか!!」
それなら慣れている。
襲い掛かってきた三匹を叩き落すと、手馴れた動きで止めを刺していく。
スターアイ:スターアイズバットの瞳。特殊な鉱石でできている。
こんなものが残った。
「まだ虹水晶も片付いていないのにとんでもないものが出てきたな。」
今回のものはただの鉱石なので、大騒ぎするほどではないだろう。
少しだけ安心すると、探索を続ける。
部屋の構造自体は変わっていないようだが、点滅する光点のどこから襲われるかわからない。
気を引き締めて通路に踏み入ると、光点がずれた。
何かいる・・・
先を睨みつけ、すぐに戦えるように構えた。
コメットラット:猛スピードで跳躍するネズミ
「うわっ!」
鑑定の説明を読んでいると、コメットラットが俺の肩に切り傷を残して通り過ぎていった。
レベル:36 HP:259/260 技能:鑑定 幸運(微)
それでもダメージは1なのか・・・
狭い空間をピンボールのように跳ね回るために反撃が出来ない。
身体の小ささが加わって、一方的に攻撃を受け続けている。
「いらいらしてきた・・・」
一撃は小さくとも、猛攻を受け続けるとHPがなくなってしまう。




