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治療

今回は五等分にカットする。


奇数で切り分けるのってなんでこんなに難しいんだろう。


果汁がこぼれてこないので、べた付くことも無く切ることができるのは結構嬉しい。


「どうぞー、食べてみてください。」


さっきまでキラキラしていたのに、切り分けられたメロンを見る目は血走っていた。


こわい・・・


だが、気持ちはわかる。


一月以上経っているのだ、今でこそ慣れはしたが


普通なら目にすることも無い果物で、しかもとても綺麗に輝いている。


匂いだって日に日に強くなっているように感じる。


だから食べ終わるまではそっとしておこう。



「うん、やっぱり美味しいなー。」


既に食べ終わり、ひざの上で座っているあおいを撫でる。


石川さんは一口食べた状態で止まっている。


そして、止まっている石川さんのメロンを凝視しているプラム


なんだこれ?


それから数秒後に石川さんが動き出し、凄い勢いでメロンを食べきった。


「美味しかったです!なんですかあれ!」


「メロンですね、ダンジョンで拾った苗から育ったという少し特殊な」


あれ?さっき言ってなかったっけ?


「これってまだありますか?一株譲ってください!」


「無いのでダメです!」



そんなやり取りから暫くすると、ネット回線を引っ張ってくれると言う業者さんがやってきた。


これから工事してくれるらしい。


ただ待っているのも暇だし、何より真夏の暑い中で頑張ってくれる業者さんがいるのだ。


俺は冷蔵庫へ急ぎ、ヒラトリの実をジューサーにかけると


製氷の器に注いで冷凍庫へ入れた。


二時間ほどして、業者さんから終ったのでと挨拶された。


帰ろうとする業者さんを引きとめ、キッチンヘ走ると


新たにヒラトリの実をジューサーにかけ


先に作っておいたシャーベット状のジュースを入れていく。   



石川さんが、私も私もと言ってきたので


「ちゃんとありますよ」


と渡してあげると、業者さんも苦笑いしていた。


「お疲れ様でした、一服していってください。」


ありがとうございます、とジュースを一気に煽ると


業者さんが地面に手をついて悔しがりはじめた。


な・・・なんだ!?


聞いてみると、初めて飲んだジュースでとても美味しかったのに


味わうことをしなかった自分が恨めしいとのこと。


それならば、ともう一度キッチンヘ戻りヒラトリの実を人数分持ってくる。


「帰ってから冷やして食べてくださいね。」


と伝えれば笑顔で帰っていった。



「さて、では次ですね!ちょっと待っててください!」


石川さんが何処かへ電話すると、大きなダンボール箱を抱えた人がやってきた。


「さ、あとちょっとで終りますからねー。」


なんだか歯医者で治療してる気分だ。


ダンボールの中身はパソコンだった。


忙しなくパソコンを組み立てている人と、それを置くラックを組み立てている人。


パソコンの方は、既に殆ど組み立ててあったらしく、何か細長いカードのようなものを差し込んだりしていた。


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