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パソコン

「新しい住人ですか?」


と、問いかければ


「ええ、以前にもお伝えした通り私のお店はそこそこ名が通っているのですよ。」


そこで、と付け加え


「この店の前にある空き地に旅館を建てたいそうなんです。」


「旅館・・・ですか?ホテルではなく?」


「ええ、ホテルの方がお客様の都合は良いのですがね。彼女は旅館じゃないと嫌なんだそうです。」


変わった人もいるもんだ、と相槌を打っていたのだが


よくよく考えれば俺も他人のことを言える身ではなかった。



「ん、それじゃ俺はこれで。」


「お急ぎでしたか?お時間をとってしまいましたね。」


テレビかパソコンの取り付けのことをふと思い出したので、ちょうどいいところで話を打ち切る。


「いえ、急ぎと言うわけではないのですが・・・パソコンかテレビを家に設置しようかと思いまして。」


情報が流れてきませんので、と笑うと


「なるほど、それでしたら彼女が旅館を建てる際に一緒に取り付けてもらうのはどうですか?」


との提案が返ってきた。



「それは嬉しいのですが、いいんですかね?」


顔も知らない人に、顔も知らない男が知人を通して頼み事をするのには気が引けた。


「ええ、大丈夫ですよ。」


自信を持って頷く古谷さんを見て、それなら大丈夫かな。と思ってしまう。


「それでは次の食材を卸した代金から引いておきますから、安心してください。」


そういうことなら、と


「では少し上乗せして払って置いてください。」


迷惑料として、これくらいはしておかないと。


「わかりました、しっかりと上乗せしておきますね。」



それから探索を続けつつ、苗ほしさにミュータントウィップを狩り続ける日が続いた。


その間に旅館の建設が始まったり、石川と名乗る女性が訪問してきたりした。


そんなこんなで一月後


「ごめんくださーい」


という声が玄関に響いた。


いそいそと出て行くと、石川さんが立っていたので


縁側へと促し、麦茶の入ったグラスを出す。


「いらっしゃい、今日はどうしたんですか?」


用件を聞こうと、質問してみると


「お邪魔します、旅館が完成したので挨拶回りをしているのです。それと合わせて、パソコンの取り付けにお伺いしました!」



「ありがとうございます!これで外のことが少しでもわかればいいのですが・・・」


まだダンジョンのことは伏せているため、床板と畳はしっかりと戻してある。


だが、そんな些細な努力も簡単崩れてしまった。


床板と畳を直すのに焦り、あおい達に隠れていて欲しい旨を伝え忘れていたのだ。


「あ」


問題はそれだけじゃない、あおい達は空気がよめる子達だきっと陰に隠れているだろう。


ヒラトリの実もプラムと翠が食べつくしている。


だが、縁側の陰で輝くミュータントメロンは動けない。


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