階段
鑑定:意識した物の詳細を表示する。
「ふむ、技能としての入手経路は分からないか・・・仕方が無い。」
恐らくあのネックレスが関係していると予想しておけばいいだろう。
あれやこれやと考えていると、時刻は13:20を少し回ったところであった。
「よし、武器も増えたし行ってみるか!」
長い階段を下り、天井を照らすと奴がいた。
大コウモリ:大きなコウモリで暗い場所を好む
「ほう」
何もしなくてもこちらを襲ってくる敵だ、慎重に行こう。
しばらくの間、ヘッドライトで照らしているとコウモリが襲ってくる。
「きやがれ!!返り討ちにしてやる!!」
コウモリの動きは速く、包丁を振り回しても当たらない。
「まじかよ!くっ!いてー!って噛まないのかよ!」
コウモリは鋭い爪で攻撃してくるでもなく、尖った牙で噛み付いてくることも無く
ただ体当たりしてきただけだったのだ。
複数の攻撃パターンを予測しつつも、実行されるのは体当たりだけ。
段々と慣れてきて反撃に移る。
飛んでくるコウモリに包丁を仕舞い、ツルハシを構える。
最後に行ったバッテシングセンターは数年前に潰れてしまったが
「はは、当たるかどうかは神様に委ねますか!」
ふん!っと小さく息を吐きながら振ると、手にグシャッと嫌な感触
「うへぇ・・・」
木製の柄の部分は赤く染まっていた。
「あーあ、帰ったら洗わないとな。」
呟くとコウモリが落ちた所を凝視する。
光となって消えたコウモリが居た場所にもしっかりとアイテムが残っていた。
大コウモリの羽:下処理の施された大コウモリの羽
「え・・・下処理って・・・これ食材だよな?」
手羽のような若干ピンク色をした羽が残っていた。
「考えてもしかたないよな、うん!」
手羽を仕舞い、その後も出てくるコウモリをツルハシで打ち込んでいった。
20体を超えた程でウェストポーチに限界が来たのだ。
ついに容量がいっぱいになってしまったのである。
「さすがにアイテムボックスは無理だったか、便利だから暫くは使えそうだな。」
その後も探索を続けると、下へ続く階段を見つけた。
「やっぱりダンジョンだよな・・・」
レベル:1 HP: 6/10 技能:鑑定
「おー、HPが減ってら」
散々コウモリの体当たりを食らっていた筈なのだが、HPは4しか減っていなかった。
謎だらけではあるが分からないものは仕方がない。
気持ちを切り替えて階段を見つめる。
「よし!レベルが上がったら下りてみよう!」
何がおきるか分からない以上、迂闊に踏み込むことも出来ない。
ならばもう少しだけと、気持ちを切り替えてコウモリを狩って行くのだった。