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宝石

「みんなおいで、おやつにしよう。」


あおいはいつものように翠の頭に乗っていたが、プラムはヒラトリの樹の上に巣を作っていたようだ。


「さ、食べようか。」


あおいは突き、翠は一口で食べた。


プラムに関しては皮ごと丸呑みしてしまった。


ははは、と笑いながら自分もフォークで小さく切る。


シャクッと音がなり、崩れることなく掬い取れたのだが果汁が出てこなかった。


そして、口に近づけた際にかいだ香りで気付く。


「あ、これやばいやつだ。」



ただただ甘いだけの香りに、意識が飛びそうになる。


「い・・・いただきます。」


震えるフォークに載ったメロンを口に押し込むと


蜂蜜を濃縮したような、それでいてくどさがない匂いが口内に広がった。


そして、咀嚼すれば果汁が弾ける。


フォークで切っても出なかったはずの果汁だが


噛めば噛むほど果汁が出てくるのだ。


それに加えて、果肉の弾力が強いのがまた良い。


これを卸せば、古谷さんは喜んでくれるだろう。


だが、毎日は無理だ。


ただでさえ、一日に一玉しか出来ない物を卸してしまえば


俺が食べられなくなってしまう。



食後に、二分ほど余韻に浸っていたのだが


あまり伸ばすと、お昼になってしまうため


三井家、岡田家、古谷さんの所へと順に配っていく。


三軒周り終えたのは、お昼を少し越えてからだった。


「よし、今日も何か拾えるといいな!」


三匹に家の警備をお願いし、俺は四階層へ下りる。


空には蔓に絡め取られる翼竜


代わり映えしない景色だが、これはこれでいいものだ。


サクサクとミュータントウィップを刻みながら進むが


一匹も苗は落とさなかった。



「んー、やっぱり必ず落とすってわけではないのかな。」


もしかしたら、今まで落としていないだけで


ナメクジやヒルも何かを落とすのかもしれない。


「機会があれば落とすまで倒すのもいいかもな。」


そういえば、他のダンジョンの情報があれから入ってこないな。


古谷さんからもそこそこの結構な金額が流れてきているので


この機会にテレビかパソコンを買ってみるのもいいかもしれない。


「ん?なんだあれ?」


あれこれ考えながら歩いていたのだが


目の前にキラキラした岩が転がっていた。



岩は脆く、ツルハシで軽く叩いてやると簡単に砕けた。


そして、虹色に輝く宝石だけが砕けずに残ったのだ。


「これ宝石だよな?なんて宝石だろう?」


きっとダンジョン産のものだから、外の世界には無い物かもしれない。


そう考えるだけでワクワクする。


細かく砕けた岩を漁ると、虹色の宝石はまだまだ隠れていた。


握り拳と同じくらいのサイズの物が、全部で二十個近く手に入った。


「うん、やっぱり古谷さんに見せてみよう。」


様々なお客さんが身に着けている宝飾品を見ている古谷さんのことだ。


一度見せてみればわかるかもしれない。


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