油断
「以前はたしか、ムカデとハチも居たんだよな。」
ハチから採取した蜂蜜はまだ大量に残っているが
あって悪い物ではないので、倒せるようであれば採取しておこう。
ムカデの毒もそうだ、このダンジョンが上方修正されてからリセットしたと考えれば
翼竜と再戦する可能性が高いということだ。
浅くて比較的倒しやすい階層で素材集めをしてから下へ下へと挑んでいくのが一番安心できる。
今はあおいも翠もいるんだ、生まれて初めて俺の命が俺だけの命じゃなくなった
守るものがあるのはいいな、やる気が出てきてしまうじゃないか。
一階層でウサギとイモムシを倒しながら、夕方になるのを待った。
以前にした推測だが、昼と夜で出現するモンスターが違うというもの
これを調べておきたかった。
「そろそろか」
時計を見て、一般的に夜と呼ばれる時間に入ったことを確認した。
「あいつらも心配だから長くて二時間、九時までには戻ろう。」
言葉に出して大雑把な予定を決めておく。
階段を下りると、イモムシとネズミがいた。
イモムシは弱かったのだが、ネズミは少しだけ強くなっていた。
ネズミは、俺が振るったツルハシにしがみつき
その上を走って噛み付いてきたのだ。
やはり、二周目は侮れない
弱いと思って手を抜けるレベルのモンスターは殆どいないということを強く認識した。
噛み付いてきたネズミの頭を掴み、床にたたきつける。
ツルハシだと長すぎるため、包丁で切りつけて倒した。
「はぁ、二層でこれか・・・」
一層でも最初にウサギで苦戦したことを考えれば、全体的に質が上がっていると思われる。
そして、ギシッギシッと待ち望んだ不快な音が聞こえてきた。
「きたか!」
二度の戦いから、上から襲ってくることを覚えているので
ツルハシを構えてカウンターを狙う。
落ちてくる際、僅かに体をずらして振り上げた。
ギチッギチッと何処かへ逃げようとする。
包丁を片手に追いかけて、ムカデの頭に叩きつけると
首がはねとび、身体がのた打ち回っていた。
そこで決着が付いたと思って油断してしまった。
ムカデの身体が光って消えていくが、ムカデの身体が消える寸前に
切り離された頭をこちらへ弾き飛ばしてきたのだ。
「うわぁ!」
ムカデの頭は、俺に噛み付くとすぐに消えた。
「いってぇ・・・」
レベル:15 HP:97/120 技能:鑑定 幸運(微)
「結構喰らってたな、レベルも上がってる」
まだ三階層へ進むには早そうだ、二階層できっちりレベルを上げておこう。
チュウチュウと鳴くネズミを倒しつつ、イモムシを蹴り飛ばして進む。
階層の構造は前と同じだったので、探索することは簡単だった。
問題があるとすれば
「やっぱりあったか・・・」
蜂の巣の存在だろう。




