あおい
家に戻り、リュックの中にヒヨコちゃんを入れて三井家へ訪問する。
「おじさーん!いらっしゃいますかー!」
と呼びかければ
「おー!入っていいぞー!」
と返事が返ってくる。
おじさんはテレビを見ながら、汗をぬぐっていた。
仕事の後なのだろうか・・・
そこで一息つくと、リュックからヒヨコを出す。
「ほう、初めて見る種類だな。1日で孵化した事も考えればやはり新種として見たほうがいいだろう。」
とのこと。
そこで頷くと
「エサは卯の花と市販の穀物でいいのか」
と聞いてみた。
それでいいだろう、とおじさんからの返事ももらえたので
お礼を言って去ろうとすると、おじさんから待ったがかかった。
「さとし君、その子に名前は付けてあげないのかい?」
そうだ、すっかり忘れていたと反省して
「ありがとうございます、考えておきます!」
と返事を返した。
ヒヨコちゃんの名前を考える際に、オスかメスかの判断で悩む事になったが
ここで鑑定のことを思い出す。
最近はうっかりすることが増えてる気がするな、とまたもや反省。
鑑定をかけると
ブルーチキン ♀ 飼育可能
と表示された。
なるほど、名前からみれば普通の鶏と同じように育てればいいのだろうことがわかった。
この子の名前は「あおい」と名付けた。
安直ではあるが、女の子なので可愛い名前をつけてあげたかったのだ。
そんな可愛いヒヨコなあおいも、一晩経つとその姿は変わっていた。
「あ・・・え?あおい?」
と問いかけると、クェーと人懐っこい鳴き声で返答してきた。
成長したあおいの羽は、綺麗な透き通るような青色だった。
「羽根自体は柔らかいけど・・・ぱっと見ただけじゃ硬そうな羽根だよなー」
というのも、サファイアを薄く切り出して飾り付けたような見た目なのだ
硬そうに見えるのも仕方がない。
羽根を触っていると、どうしたの?と言いたそうに首をかしげながら
あおいの緑色の瞳がこちらを見つめていた。
「あおい、今から少し出掛けるけどいい子にしてるんだぞ?」
と声をかけてダンジョンへ行こうとしたのだが、あおいが飛んできて肩に止まる。
「まったく、仕方がないな。」
危なくなったらにげろよ?と注意してから階段を下りる。
ウサギを狩っていると、あおいが急にイモムシの方へと飛んでいった。
「あおい、あぶないぞ!」
と声をかけるのも遅く、あおいはイモムシの酸を真正面から浴びてしまった。
ウサギを手早くしとめ、あおいに駆け寄ろうとしたが
あおいはプルプルと全身を震わせた後、イモムシをクチバシでつついた。
すると、イモムシが縮小し、あおいに捕食されたのだ。
「は?・・・・・え?はぁ??」




