ビー玉
「はぁ・・・やった・・・・のかな?」
翼竜のモモ肉:下処理の施された翼竜のモモ肉
「うん、はぁ・・・しんどいわ」
四層のモンスターが全てこんなのだったらどうしよう・・・
恐る恐る探索を再開するも、翼竜は見つからない。
しかし、上からヒルが降ってくるのだ。
なんだこの階層は!
しかもこのヒル、倒しても何も落とさない。
そのくせ噛まれると、血が止まらなくなり非常にかゆくなるのだ!
「くっそぉ、このダンジョン作ったやつ見つけたらぜってーぶん殴る!」
階段も見つからないので探索を打ち切り、一度家に戻る。
翼竜のモモ肉を切り分け、ニンニク醤油のタレに漬け込んでおく。
レベルの確認をすると
レベル:※10 HP:105 技能:鑑定 幸運(微)
「わぁ・・・え?4もあがったの?」
※ってなんだろう?今までなかったはずだけど。
気になることはいくつもあるが、とりあえず役に立ったイモムシの酸をポーチに入れる。
ムカデはまた倒さなければならないが、出現するかどうかもわからない。
「さて、どうしたものか。」
今までの戦いの幾つかを思い出してみたのだが
正直いま生きているのが不思議なほどギリギリだったと思う。
ラッキーパンチは何度も続く筈がないのに今までやってこれたのは
途中で増えた技能の幸運(微)のおかげだと思うことにした。
今回、運よく翼竜を倒せたわけなのだが
オオトカゲの肉を丸呑みする程だ、おそらく現状で食物連鎖の最上位の生き物なのだろう。
それならばやりようはある。
個体数が圧倒的に少ないのだから、また階段でハメてやればいいのだ。
それから数日の間、何度も四層を探索してみたが
翼竜は未だ現れていない。
代わりに、オオトカゲがたくさん現れた。
何度もモンスターを倒したのだが、レベルも上がらなくなっているので
恐らく※印はレベルの上限を表しているのだと理解できた。
「ふむ、これならこの階層に用はないか。」
五層への階段を探している途中、なんどかウサギを目撃した。
「うん、歩き回っても平和だと思えるのはいいな。」
オオトカゲも姿を現さないので、久しぶりの長閑な景色に和んでしまった。
五層への階段は、思っていたよりも簡単に見つかった。
見えない壁伝いに歩いていたら、一部の景色が削り取られていたのだ。
「んむ、統一性のないダンジョンだこと。」
そのまま階段を下りてみるが、二層までと同じつくりだった。
唯一違ったのは、五層は明るかったのだ。
「何もいない・・・なんでだ?」
通路に隠れながら小部屋を探索していくが、結局何も現れなかった。
そんなとき、小部屋からカタンッという小さな音が聞こえた。
振り返ってみると、小部屋の真ん中に
小さなビー玉のような物が転がっていた。




