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有難い

海神王を観察すること数時間、未だに弱っている様子は見せない。


湖は毒に染まっているので、海神王が湖に戻れば再び毒がまわるはずだ。


そして、暴れまわる海神王を観察していて気づいたことがある。


それは海神王にエラが有るということだ。


海神王がエラ呼吸であれば勝算は十分にあるのだが、万が一ということもある。


油断はしない方がいいだろう。


となれば、湖へ流し込んだ毒に続く新しい武器が必要となる。


湖の外は広大な平地なので、毒物の散布も効果が薄いと考えると


手持ちの武器で何ができるのか考える必要がある。


手持ちの武器といえば幾つかあるのだが、有効だと思われるものは多くない。


黒曜の短剣と変質したツルハシのグランドブレイカー


あとは杖シリーズだけだと思っていいだろう。


黒曜の短剣は焼き切る性質から追加効果を期待しての選択なのだが、今はまだ使えない。


海神王が暴れまわっているので、近付くのは危険だから。


ツルハシも同じ理由で今は使えない。


となれば杖シリーズになるのだが、水を操る玄武の杖は使えない。


海神の名の付くモンスターだ、水はそのままヤツの力になりかねない。


であれば、青龍・白虎・朱雀の三種類の杖になる。


手始めに白虎の杖で雷を浴びせると、一応効果はあるようだ。


所々の鱗が剥がれ、出血まではいかずとも火傷を負っているように見える。


次に朱雀の杖を試してみたが、こちらはあまり有効ではなさそうだ。


青龍の杖で風を操るも、操れるのは風であって空気ではないのでちょっとした切り傷すらつけられなかった。


だが、ここで思いついたこともある。


風を操れるのであれば、毒の湖へと落とせるのではないかと。


暴れまわる海神王は少しの風ではビクともしなかったが、一方向に一気に放出される風には耐えられなかった。


毒の湖に叩き込まれた海神王は暴れた。


火傷した部分も完全に焼けたわけではないので、傷口からも毒がまわっているのかもしれない。


いい感じだ。


陸に上がろうとする度に叩き落しながら数時間観察していると


ついに体力が尽きたのか湖にぷかぷかと浮かび、ピクリとも動かなくなった。


鑑定をかけると、この巨体がドロップ品となるようだ。


終わってみれば随分とあっけなかったが、今までで一番の敵であったことは間違いない。


ポーチには入りきらないため一度陸にあげて解体したのだが、それがものすごく大変だった。


生前の海神王のような固さが無いのが救いだった。


細かく切り分けるのは後でも出来るので、ぶつ切りにして転移で庭へ運ぶことを繰り返し


やっとのことで運び終わったときには、太陽が沈みかけていた。


不思議なことに海神王のドロップ品は、毒に浸されていたはずなのに汚染されてはいなかった。


討伐が無事に終えたことを澤城さんと院長先生に連絡したところ


澤城さんから幾つかサンプルとして買い取りたいと言われた。


俺としてもこれだけの量に処分するのは手間がかかるので助かると、二つ返事で答えた。


院長先生からは討伐終了後に必要となるであろうと、中和剤を用意しているから取りに来てほしいと言われている。


そこまで考えていなかったので大変有難い。


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