燃焼
炊いた黄金米はすぐに無くなったので、次はオリハルコーンの調理に移る。
トウモロコシは、生で齧るのも美味しいが
やはり塩茹でが一番だと思う。
バター醤油で焼くのも良いが、少し食べ難い。
なので保存と食べ方を考えると、塩茹でこそが最強なのである。
黄金色の皮を一枚ずつ剥がし、水につけて数分茹でる。
茹であがった物を持ってみたが、あまり熱くは感じなかった。
しかし、その黄金色のトウモロコシからは
白く揺れる蒸気がしっかりと見ることができる。
勢いよく齧り付くと、その身に内包された甘みが一気に口の中に広がった。
「甘い…」
凄く甘かった。
クッキーやケーキを食べたかの様な甘さなのだが、不思議とくどく感じることはなかった。
これだけの甘さならば、デザートの材料としても使えるかもしれない。
そういえば、森の奥村には甘味処が無かったはずだ。
知り合いで店を開きたい人がいないか、今度古谷さんに聞いてみよう。
それよりも、このオリハルコーンだ。
鑑定しても、オリハルコンが含まれていることはなかった。
恐らくだが、あの恐ろしく硬い茎の部分がオリハルコンなのではないかと俺は疑っている。
試食はこの程度でいいだろう。
非常に美味しいのだが、黄金米だけでも三合は食べているため
普段から小食の俺の胃袋は限界だった。
キッチンから離れ、縁側に寝転がると
スターメロンがワサワサと成っている合成樹が目に映った。
そう言えばと重い、起き上がり
ポーチから魔石と素材石を取り出して合成樹に近付いた。
取り出した魔石は、赤と黒だ。
選んだわけではなく、適当に取り出した結果だった。
素材石と魔石を放り込むと、灰色の魔石ができた。
やはり、素材石を使うことで新しい魔石が出来るようだ。
実のところ、魔石同士を合成樹に入れたことはあった。
だが、取り出した物は放り込んだどちらかの魔石と同じ物だったのだ。
そこに今回は、素材石と言う繋ぎがあった。
鑑定の結果で空の魔石と出たときにピンときたのだ。
さて、この灰色の魔石の鑑定結果なのだが
魔石(灰) : 燃焼の力を取り入れた宝石
燃焼、燃え尽きて灰になるということだろうか。
しかし、今までの魔石の場合は
鑑定の結果では見えない効果があった。
ならばこの魔石も、有効に使うことが出来るかもしれない。
燃焼のイメージで使える物を考えたのだが、ダイエットグッズしか思いつかなかった。
イメージを固め、金を錬金で細いチェーンを作った。
出来上がったチェーンに魔石(灰)を押し当て、イメージをする。
脂肪の燃焼を促すイメージだ。
決して、脂肪そのものが燃えるイメージをしてはいけない。
そんなことをすれば、装着した人があっという間に火達磨になってしまうからだ。
脂肪の燃焼をイメージすることが思いの外難しく、効果を付与するまでに少し時間を取られてしまった。
しかし、なかなか良い出来だと思う。
イメージの付与がしっかり出来ているか確かめるため、出来上がったブレスレットを腕につけた。