王冠
起きた時間が遅かったため、既に陽が沈みかけている。
まだ明るいが、じきに真っ暗になるだろう。
このままダンジョンへ向かってもいいのだが、今日はあえて休息をとることにした。
畳の上に寝転がると、足にこつんとした感触があった。
「ん、あおいか。 おいで、久しぶりに一緒に寝ようか。」
クィー、と鳴くあおいを引き寄せ
そのまま、朝までぐっすりと眠りに付いた。
「おはよう、あおい」
思えば、あおいと一緒に寝るのは久しぶりだった。
あおいも寂しかったのかもしれないな。
今後も、一緒に居られるときは一緒に居てやろう。
顔を洗い、準備をしてからダンジョンへ入る。
本日の目的はサラマンダーだ。
三階層に住み着いた、真っ赤なオオトカゲだ。
それだけじゃなく、他にも新しい物があれば確保していくつもりだ。
「あれ? こんなところに道がある…」
そこは、ガーゴイルが長いこと居座っていた第一階層だった。
今までは間違いなく存在していなかった道が、今目の前にあるのだ。
これはどこへ続いているのだろうか。
警戒しながら、ゆっくりと進んでいくと
道の先には、青白く光る部屋があった。
部屋自体が発光しているしているわけではなく、床にある模様が光っているのだが
テレポーター : 指定した階層へと瞬時に移動できる。
テレポーターか、どうして今になって現れたのだろうか。
恐る恐るテレポーターに触れて、行ける階層を調べてみたのだが
「六…?」
テレポーターに表示された階層は、五階層で終わってはいなかった。
新たに、六階層が増えていたのだ。
何が起こるのかわからないので、調べるために五階層を選択した。
視界が暗転し、次に観た景色は海の中だった。
正確には、四階層から五階層に下りるための階段の途中なのだが
どうやら、セーフティーエリアに飛ばされるらしい。
五階層を観て回ったが、六階層への道は見当たらなかった。
歩いては行けない階層なのかもしれない。
だが、安全は確認できたので悪くは無い結果だ。
少し安心したので、本日のランダムボックスのお時間だ。
「玉…?」
スカスカの宝箱の中には、掌にギリギリ納まるサイズの玉が合った。
紫色の玉だったが、中心には梵字の様な模様が入っている。
使役珠 : ダンジョンモンスターを使役することが出来る。
六階層の事もあるし、悪くない収穫だ。
五階層にはテレポーターは無く、歩いて帰らなければならないようだ。
元々の目的地は三階層だったので丁度いい。
辿り着いた三階層では、ウサギは一羽も居なかった。
少し残念だが、目的はサラマンダーなので問題は無い。
サラマンダーを探していると、不思議な生物が目に入った。
見た目はネズミなのだが、王冠を被っているのだ。
クラウンラット : 王冠を被ったネズミ
見た目そのままか…。
ザクリと倒すと、王冠がドロップした。
オリハルコン : 珍しい金属
オリハルコンだ、オリハルコンが出た!!
しかし、このままでは使い辛いのでインゴッドに変えてから仕舞った。
再度、サラマンダーを探すと
先程までは見つからなかったのに、少し離れたところに沢山居た。