鍛冶
ガーゴイルの説明によると、このランダムボックスは零時を迎えると入れ替わるらしい。
「開けてもいいか?」
「構わない。 開けてみろ」
一応、ガーゴイルに許可をとってからランダムボックスを開く。
ギシッと軋んだ音を鳴らして開いた箱の中には、以前に見た魔石が沢山入っていた。
「魔石か、今回はハズレだな」
「魔石はハズレなのか?」
「宝石としての価値は高いがな、ランダムボックスの中身としてはハズレだ」
こんなに綺麗なのに…。
以前に入手した白と黒だけでなく、茶色と赤色と青色の物も混ざっていた。
「魔石って使い道はあるのか?」
「ある。 が、主には無理だ」
何か条件があるのだろうか?
「使えるようにはなるのか?」
「それは主次第だな。 錬金の技能が必要なのだが、主は持っていないからな」
「錬金なんてあるんだな。 漫画や小説でなら何度か見かけたが、現実でとなるとなぁ…」
どこか胡散臭いが、ダンジョンなんてファンタジーな物がボコボコ出来ていれば納得も出来る。
「ランダムボックスを毎日開けていれば、その内覚えるかもしれないぞ」
「開けるだけで技能が身につくのか?」
俺の問いに、ガーゴイルは首を振る。
「もしかしたら、錬金を身に付けるアイテムが出るかもしれないと言うだけのことだ」
「そうか。 まあ、開くだけで身についたら苦労はしないよな」
喋りながらも、魔石をポーチへと仕舞っていく。
「長くなったが、このダンジョンの案内はこんな所だ」
「ああ、助かったよ。 時間があるときにでも探索してみるさ」
帰りにも採掘してみたが、宝玉は行きの一つしか見つからなかったのでプレゼントからは除外することとなった。
ガーゴイルと別れて家に戻ると、プレゼント用の品を纏めることにした。
共通したプレゼントは、ペットの二匹・セブンカラー・ブレイズピクシーなのだが
石川さんは綺麗な物が好きだと言っていたので、魔石も五色セットで入れておこう。
だが、問題となるのは古谷さんにプレゼントする分だ。
料理が好きだと言うことしかわかっていないのである。
「んー…、宝珠でも使ってみたら何か変わるかな?」
そんな軽いノリで宝珠を使ってみた。
「特に変わったことは起きなかったみたいだが…。 鑑定でわかるかな」
レベル:77 HP:850/850 技能:鑑定 幸運(微) 瞬間移動 鬼人化 龍化 錬金
ん? レベルが上がってる。
「あ、錬金…。」
先程の話はフラグだったのか、宝珠によって錬金の技能を得たのだろう。
再びガーゴイルの元へ行き
錬金の技能を得た報告と、魔石の使い方を聞いた。
「主は本当に運がいいな。 魔石だが、武器や装飾品に埋め込むことで特殊な効果を与える。 主ももっているであろう?」
そう言われると心当たりがある。
硬化の指輪や、抗体の腕輪がそれにあたるのかもしれない。
「武器や装飾品を作るだけならば鍛冶でも出来るが、魔道具となると話は変わる。 鍛冶では魔道具を作れないのだ。 これもルールによる縛りだと考えてよい。 だが、ダンジョンのルールではなく世界のルールだ」