宝珠
「なかなか見つからないな…」
ガーゴイルがその鋭い爪でガリゴリと掘っているのだが、セブンカラーは見つからない。
だが、それ以外の鉱石はよく転がってくる。
金や銀だけでなく、ファンタジー鉱石の代名詞とも言えるミスリルなんかも出てくるようだ。
しかし、鉄鉱石だけは未だに見ていない。
そして、地面を掘れば鉱石粘土が採れる。
ハズレが無いと言うのは嬉しいが、これがバレたらと考えると恐ろしい。
「お、やはり運がいいようだ」
みつかったようだ。
「セブンカラーがみつかったのか?」
「残念だが、セブンカラーではない。 だが、あれよりもいい物だ」
ガーゴイルが振り向き、手にしている物を見せてきた。
「これは宝珠と言ってな、使用者にプラスになる効果がランダムで付与されるんだ」
それは占い師の水晶のように透明な球体なのだが、外から中心に向かって渦を巻くように光っていた。
「綺麗だな」
「そうだろう。 効果だけでなく、インテリアにも使える優れものだぞ」
「効果はランダムって言っていたけど、それってスキルが手に入ったりもするのか?」
「勿論だ。 だが、そう滅多にスキルが発言することはないな」
ガーゴイルの説明を聞き、もう一つ探すことにした。
「前に拾ったものだけどさ、再生珠とか蘇生珠とかもここで掘れるのか?」
「ここで掘れるが、運が良くないと厳しいだろうな。 それでも、ここで採れる鉱石にハズレはないから安心していい」
凄いことなんだろうけど実感がわかない…。
「お、あったぞ。 持っているセブンカラーを出してみろ」
「条件ってやつか? ほら」
ポーチからセブンカラーを取り出し、ガーゴイルに見せる。
「ふむ、いいサイズではないか。 セブンカラーを七色にするために必要なアイテムはこれだ」
ガーゴイルが見せたのはブレイズピクシーだった。
「これが必要なのか?」
「ああ、これが必要だ。 これに光を当てて、中を通った光をセブンカラーに当てれば…」
俺の掌にあるセブンカラーの透明部分が、だんだん金色に変わっていく。
「綺麗だな…」
「そうだろう。 なかなかみつからないこともあるが、この現象と見た目のおかげで高価なのだ」
たしかに、これだけ綺麗なら高価なのも頷ける。
「色が変わってからは、およそ一時間程度で透明に戻る。 さあ、セブンカラーを探すぞ」
そうだった、プレゼント用のセブンカラーは最低でも一つは増やさないとな。
ガーゴイルの横で鉱石粘土を掘ってはポーチに入れていると、何かが手に当たった。
「あ、あったぞ! 地面からも出てくるんだな」
「そこにあったか。 ダンジョンは上下左右、全てが資源だからな。 どこに何があっても不思議ではない」
「そういうもんか。 ま、助かったよ。 ありがとな!」
「ふむ、ところで主よ。 まだ時間は大丈夫なのか?」
「時間? ああ、まだまだ大丈夫だぞ」
「それならば、ついでに五階層も説明しておこう。 あそこにも面白い物があるからな」
「あそこって海産物が取れるんだろ?」
「それだけではないぞ? 五階層の小部屋の存在は忘れていないだろうな?」
「あそこにも何かあるのか!?」
踏破したら消えるものだと思っていた…。