四階層
地下へ潜り、ガーゴイルに訊ねる。
「なあ、このダンジョンで鉱石が採れる階層ってあるか?」
「なんだ…急いでいるのか? 少し待て」
顎に手をやって何か考えているようだ。
「わかったぞ。 鉱石が取れるのは四階層だな」
「助かる! 案内を頼んでもいいか?」
「構わぬ、すぐ向かうか?」
「ああ、頼む」
昨日と同じく、ガーゴイルの後ろをついて歩く。
「二階層はあまり変わってないな」
「基本的に見た目は変わらないぞ? 収穫物が変わるだけだ」
収穫物が変わるだけ…か…。
「今回は昨日と同じようだな。 次に行くぞ」
三階層に下りて辺りを見渡す。
「牧場か?」
この一言しか出てこなかった。
「そうだ、ここは牧場エリアだな。 良質な肉がとれるぞ。 肉だけじゃないがな…」
「そうなのか?」
「ああ、蜂蜜や木の実なんかも採れるぞ。 主が大切にしてたメロンの苗なんかも稀にだが採れる様だ」
「本当か!?」
「嘘をついてどうする…。 美味い物は色々あるからな、時間がある時にでも食ってみろ」
「そうするよ! 楽しみだ!」
「驚くかもしれないがな。 あの赤いトカゲ…サラマンダーというのだが、あいつが美味い」
サラマンダー!?
「おい! サラマンダーって大丈夫なのか? 火を吹いたりしないよな!?」
「サラマンダーが火を吹くわけ無いだろ。 火龍の劣化存在というだけのトカゲだぞ?」
「そうなのか…。 サラマンダーは火を吹くイメージがあったからなあ…」
「ふむ、確かに。 ありえなくも無いかもしれないな…、火を吹くのに必要な器官は持っているし…」
「それって大丈夫なのか?」
「まず大丈夫だ。 必要な器官を持ってはいるが、火を付ける器官を持っていないからな」
三階層の説明をさらっと聞きながら歩いていると、四階層への階段が見えてきた。
「お、運がいいな。 珍しい物が埋まっているようだ」
「わかるのか?」
「まあな。 設定をいじることは出来ないが、この形状であればアレが取れるはずだ」
「あれって?」
「セブンカラーって言うんだがな、非常に珍しい水晶があるんだ」
セブンカラー…、どこかで聞いたような…。
「あ、それ持ってるわ」
ガサゴソとポーチを漁り、以前に拾ったセブンカラーを出す。
「なんと、既に持っていたか…」
丁度いいので、ガーゴイルに聞いてみよう。
「なあ、これって六色だよな?」
「今はそうだな。 特定の条件でのみ七色になるんだ、透明な部分が金色に変わるんだぞ」
何それ凄い!
「その条件ってなんなんだ? 教えてくれ!」
「焦るな、ちゃんと教えてやる。 まずはセブンカラーをとりにいくぞ」
ストックも欲しいし大人しく着いていこう。
四階層に下りると、ブルーメタルが飛び出ている洞窟だった。
「これはブルーメタルと言ってな、少量のアダマンタイトが混ざっているんだ」
アダマンタイトってなんだっけ…、聞いたことはある気がするのだが。