表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/170

ワンワンピヨピヨ

ガーゴイルに言われてから半月経つが、残念なことにダンジョンの踏破は出来ていない。


政府への連絡は既に済ませているのだが、問題は別のところにある。


他の探索者の同意が得られないということだ。


一攫千金を夢見て探索者になった者は少なくない。


会社を辞めて探索者になった者も少なくない。


そんな彼らが今後、ダンジョンがどの様になるのかを聞いてしまえば


あっさりと承認してくれるようなことはまず無いだろう。


放っておいても、あと半月で出された指示が全てのダンジョンへ届くの言うのなら


尚更クレームが飛び交うことは必死だ。




ここで、しっかりと対応をしておけば


少なくとも、幾つかのダンジョンは踏破することは出来ただろう。


しかし、政府は対応を間違えた。


強制的に、探索者たちの排除をしにかかったのだ。


その結果、探索者による暴動が起きた。


そこそこ時間が経ち、探索者のレベルも上がっているため


無傷で取り押さえることなど出来ない。


それに味をしめて、探索者たちはダンジョンに引きこもってしまったのだ。


俺としては、自分の家の周りだけでも安全ならば構わない。


だからこそ、他のダンジョンで誰が何をしていようと知ったことではない。




しかし、しかしだ。


政府に恩を売ることに意味はある。


正直なところ、政府に対する恩売りは何度もしていると思うが


売れる恩は売っておこうと思ったのだ。


今や日本国内での探索者が占める割合は、既に5%を超えている。


様々な企業でも、人手不足が問題化している。


単純に考えれば、物流すらも混沌としている状況なので


少しでも多くの探索者には、早く夢から覚めてもらいたいものだ。


早く何とかしたいのだが、俺はまだ動くことが出来ない。


政府から待ったをかけられて、政府の動き方に左右される立場にあるのだから…。



そんな俺は、日々をどう過ごしているのかというと


殆どが散歩と昼寝の毎日だ。


ダンジョンのおかげで、資金は腐るほどあるのだから


どこかの会社で働くことは、全く考えられないのだ。


これが今の探索者たちの夢なのだろう。


この暇な時間と膨大な資金を使い、森の奥村で余っている土地は全て購入した。


理由は単純で、フレイを筆頭にした犬型の魔物やあおいの子供達が


モミジと陽だけではなく、大量に孵化している現状にあったからだ。


別に、俺が増やしたわけではない。


犯人はクリスだ。


奴はヒヨコの状態の鶏達が可愛いからといって、考え無しに孵化させまくっていたのだ。




そんな孵化した彼らだが、ご存知の通り成長するのはものすごく早い。


結果、朝から夜までワンワンピヨピヨ


餌代に困ることは無いし、可愛いので許せるが


やはり、勝手に増やされたことに関しては納得できない。


かといって、折角生まれた命を無闇に潰すこともしたくなかった。


だからこそ新たに土地を購入し、彼らが窮屈な思いをしないようにしたのだ。


沢山の鶏が生まれ、沢山の犬が生まれ


美味しい卵の収穫量が増えたり、強力な番犬が増えたと考えれば


俺もクリスを責めることはできなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ