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移動

「あ、榊さん! こちらで暴れてたモンスターは倒しましたよ!」


先程の探索者を追ってきたのか


ダンジョンの入り口では、榊さんが心配そうに覗き込んでいた。


「本当ですか! よかった…、ありがとうございます!」


「ええ、先程の探索者の方も平気そうですよ。 防護服は有効ですね!」


人を入れないでくれと頼んだのだが、この表情だと何かあったのだろう。


「すみません。 こちらの注意を気にも留めない探索者が増えていまして」


そうなるだろうな…。



ここで一つ


細菌対策として思いついたものを榊さんに提案してみよう。


「榊さん、先程報告した細菌のモンスターなのですが…」


「細菌と言うとあの…同士討ちさせると言っていたあれですか?」


「ええ、ある程度は浄化されたはずですが 一定時間置きに天井の穴から投入されています」


ですので、と続け


「あの天井の穴に蓋をすることはできませんか?」


蓋ですか…、と考え込む榊さん。


「以前、俺の家のダンジョンで釘を打ち込んだことがあるから不可能ではないと思うのですが」



不思議な人工物ではあるが


自宅のダンジョンでは、壁に釘も打ち込めた。


材質の違いもあるのだろうが、やってやれないことは無いだろう。


「成程、やってみる価値はありそうですね。 検討してみます!」


これでこのダンジョンは何とかなりそうだ。


だが、一つだけ気掛かりな事がある。


それは、ここが複合型のダンジョンという事だ。


最悪の場合、細菌型モンスターだけを排出するダンジョンは


全く別のダンジョンという可能性があるのだ。


もしも、そうであるのなら…



暫くは大丈夫だが、厄介なことだ。


踏破毎に、滅菌と蓋の取り付けを行わなければいけないのだから。


今後の探索者の活躍次第でもあるが


俺の持つ、抗体の腕輪の様なものが出てこなければ


俺が再び訪れなければいけないのだ。


さて、当初の目的のレベル上げなのだが


ストロングバーガーを倒しても1も上がらなかった。


それはつまり、現状では俺のレベルが上げられるようなダンジョンは


存在していない可能性が高くなってしまった。


どこかのダンジョンを無理にでも推し進めなければ。



一度、ダンジョンを離れることにした。


と、いうのも


防護服を着た探索者が雪崩れ込んできてしまったからだ。


未だ見ぬロマンを求めて、多くの新人探索者が出入りすることになるだろう。


その中で、俺が一人だけ先行し


ダンジョンを踏破してしまった場合に、ダンジョンが改編される。


それは、今まで潜ってきたから知っているわけだが


一階層、二階層で探索している人達が


その改編に巻き込まれた場合、どうなるのかが分からないのだ。


また来ることを誓い、俺はそのまま次の目的地へと移動する。


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