少食
何が起きたのかは、鑑定ですぐにわかった。
レベル:78 HP:254/755 技能:鑑定 幸運(微) 瞬間移動 鬼人化 龍化
増えている。
龍化:龍の因子を覚醒させる
技能としての中身はよくわからないが、それでもとんでもない物だということは十二分に理解できる。
「使えって事か?」
クリスタルドラゴンが頷くのを確認して、龍化を発動する。
「聞こえていますか?」
なんだこれ? キュンキュン鳴いているのは変わらないのだが
副音声とでも言うのだろうか。
同時に言葉が聞こえてくる。
「大丈夫なようですね、それでは続けさせて頂きます」
はいはい?
「まずは、そうですね。 食料の提供に感謝を」
まあ、俺が原因だし?
「そして、貴方は下の階層を目指していると思いますが」
ここで少しだけ時間を含ませて
「ここより下の階層では、モンスターが出ない階層となっております」
「どういうことだ? 以前は五階層にモンスターらしきものは泳いでいたぞ?」
「ご安心ください、それらは攻略報酬と言う物です」
ど・・・どういうことだ?? 意味はわかるが理解ができないぞ・・・。
「混乱するのも無理はありません。 ですが、私が生み出されるのは三度目のダンジョン再生の最だと決められております」
それはつまり
「貴方が四度目に訪れた際に私が生み出されたのでしょう。 ですが、私達は所詮モンスターなのです」
「そういうことか」
「ええ、残念なことですが敵対する存在ということです」
ですが、と言葉を続け
「戦わずに済む方法もあります。 どちらかといえばこれは私達の総意なのですが・・・」
話は見えてきたけど・・・。
「私達を飼育していただけませんか?」
やっぱりか
「話はわかった。 だが、その前に聞いておかねばならないことがある」
「なんなりと」
「このダンジョンに詳しいようだが、お前が黒幕か?」
「黒幕・・・、ということはダンジョンマスターのことでしょうか? でしたら私のことではありません」
ふむ?
「どうやったら会えるかわかるか?」
「ええ、四度目のダンジョンリセット・・・。 つまり、次の訪問で最終階層を訪れればお会いできるかと」
「そうか、では条件付で飼育することにしよう」
「条件・・・ですか」
「ああ、そんなに難しいことじゃない。 家の周りを警備してほしいんだ」
「よろしいのですか? 一緒にダンジョンを攻略することもできますが・・・」
「当たり前だろ。 家族に危険なことはさせられないじゃないか」
次があると言うし、そこにはダンジョンマスターとやらも居るという。
俺の家族になると言うのなら、それは大切にしなければならない。
「餌はちょっと減るかもしれないが、そこは我慢してほしい」
「いえ、大丈夫です。 私達は少食ですから」