トカゲ
ウサギを観察していると、ウサギが出てきた反対側の草が揺れた。
突然の事に呆然としていると、巨大なトカゲが出てきた。
初めてみるモンスターだ。
オオトカゲ:毒をもたない肉食のトカゲ
「肉食・・・」
今までのモンスターも、肉食のものはいた。
だが、肉食という表記が出てきたのは初めてだ。
つまりそれほど危険な相手だということなのだろう。
いつの間にか、オオトカゲの口は真っ赤になっていて
地面には光となって消えていくウサギだったものがあった。
「そうか、ダンジョンの中でも食物連鎖はあるのか。」
二層までを餌となる最底辺のモンスターを育成する場と考えれば
餌もないのに集団で生活していることも納得できる。
となると、恐らくこの三層には一層、二層で出現したモンスターがいるはずだ。
そう、一層で絶滅したコウモリさんもいるはずだ!
もしろん、目の前でこちらを狙っているオオトカゲもいる。
新しい食材が増えるかもしれない。
「ん?狙っている?・・・・おわぁっ!!」
少し考え込んでしまっていたようだ。
オオトカゲがこちらを狙っていることに気付いていたはずなのに
襲撃にそなえる事もなく、ギリギリになってようやく現実に引き戻された。
スレスレで避けることができたが、今後はしかっかり注意していこう。
ともあれ、まずは目の前の敵を倒さなければならない。
オオトカゲは噛み付いてくるだけで、爪や尻尾を使ってこない。
念のため注意はしておくが、恐ろしいのは速度だ。
巨体の癖にウサギよりも早い、強敵だ。
避けられないほどではないので、ツルハシでの反撃も加えていく。
カンッカンッと弾かれてしまうが、数回に一回はずぷりとした感触がある。
戦い始めてしばらく経ち、相手もこちらもヘトヘトだ
どうしたものか・・・
決着が付かないまま睨み合っていると、オオトカゲが逃げ出した。
「あっ!おい!こら!」
助かったといえば助かったのだろう
しかし、決着が付かないままというのも気持ちが悪い。
熱くなった身体が汗で冷えてきて
ようやく落ち着くことが出来た。
冷静になればなるほど先程の戦っていた時間が虚しくなる。
「逃げられた・・・か、もっとレベルを上げないとな。」
空色の天井を見上げ、呟いた。
そうと決めたのならば行動に移す。
二階層でのレベルあげはもうできない
ならば、この三階層で頑張らなくちゃいけない。
先程のオオトカゲのような強敵が、まだまだ沢山いるのかもしれない。
いつもより慎重に、警戒を強めると
草を掻き分けて進んでいく。
それから数分後、足元にコツンと何かがぶつかった。




