表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/170

三層

「ふぅ、ちょっと危なかったな。」


現在、俺の目の前には地面でもがく巨大なハチが3匹転がっている。


警戒をしつつも、いそいそと止めを刺してまわる。


「うん、ここまでこれば次へ行っても大丈夫・・・かな?」


適正レベルが分からないので、どうしても不安は残ってしまう。


「よし!階段を探そう!」


最後になるかもしれないで、ウサギの巣穴の前にキャベツを一玉置いて両手を合わせる。


「肉と経験値をたくさんくれてありがとうな。よかったら皆で食べてくれ。」



巣穴に背をむけ、一歩踏み出したときに背後から音が聞こえた。


最後に一目見ておきたかったので、後ろを振り返った。


そこにはウサギではなく、ここしばらく行方をくらましていたネズミがいた。


何故こんな所にいるのか疑問ではあるが、とりあえず駆除しなければならない。


「それはお前のじゃない!」


ウサギのためのご飯なのだ、こんなよくわからないネズミにくれてやるわけにはいかない。


急いでネズミを倒し、キャベツが無事なのを確認し、一息つく



背を向けて歩き出そうとした時に、ふと思い出す。


そういえば、ペットの飼育員の人はちぎってあげていたな、と


そうとなれば行動は早い


ちぎっては穴に放り込んでいく。


一玉まるごとちぎり入れて、最後に芯を置いておく。


芯くらいならネズミにくれてやってもいいだろう。


そして俺は階段を探しに歩き出した。


現在、確認されているダンジョン二階層までの地形は固定のようで


一つの大部屋に3つの通路


通路の先には小部屋があるかたちだ。


なので階段はすぐに見つかった。



見つけた階段からは、若干光が漏れていた。


どういうことなのだろうか?


階段を慎重に下りて行くと、途中で左手の壁が消えているのが分かった。


「すげぇ・・・ってここ地下だよな?」


下りてきた階段と段差から考えて、高さは五メートルか六メートルほどだろう。


しかし、目の前に広がるそれは大森林と言っても過言ではないものだった。


壁は間違いなくある。


手を伸ばせば、壁に当たる感覚がしっかりと返ってくるから間違いはない。


ただ、その壁が見えないのだ。


どこまでも続く、世界に目を奪われながら探索を始める。



苔の生えた大木をコンコンと叩いてみると、中は空洞のようだった。


草木はみな大きく、一番小さなシダの様な植物でさえ


俺の背丈をゆうに越えている。


存在の確認は出来ていないが、虫や鳥の鳴き声まで聞こえている。


すると、背後からガサリと音が鳴った。


弛んでいた意識を戻し、身構えると


そこにはウサギがいた。


「もふもふ・・・よかった、ちゃんと居たんだな。」


これでしばらくの間の肉の確保が出来る、と喜色を浮かべる。


肉だけが目的と言うわけではない。


この命のやり取りをするダンジョンで、可愛いものは心を癒してくれるのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ