質問
「え、いいんですか?」
「ああ、だけどその前に・・・。 携帯は持っているかな?」
結果、三人とも持っていたので親に連絡を取らせることにした。
「親御さんの許可が貰えなければ連れていけないし、許可が取れれば次の質問に移る」
この言葉を聞いて三人がすぐに電話をかけ始めたのだが
ダンジョンへ潜るため、という言葉を聞いた親に猛反対されている様子。
ま、当然だよね。
ここで原田さんが言い放った言葉に冷や汗を流すことになる。
「お父さんなんか大っ嫌い! 私、井出さんの家の子になる!!」
そんな大きな子供はいりません。
俺が呆れていると、親御さんの方が折れてしまったようで
葉山さんと花山さんの方も流れが変わっていった。
こんなことで大丈夫なのだろうか?
三人とも許可が取れたと報告しに来たが、それぞれの携帯を借りて
俺も一度話しておくことにした。
「あ、井出と申します。 ダンジョン探索への許可を出して頂けたようですが、本当に危険な場所なんです。 最悪の場合は命を落とす結果になりますが、それでも大丈夫なのでしょうか」
この質問に対する答えが返ってきたのだが
その言葉に少なからず驚いてしまった。
「まだ高校一年生ですが、早くてあと三年もすれば社会人です。 それを考えてしまうと、今しかできないことぐらいはさせてあげたいじゃないですか」
ほう?
「で、本音は?」
「娘に嫌われたくないからです!!!」
やっぱりか。
現在、三人の親は一緒にいるらしく
非公認ながら三人の所属している迷宮探索部のメンバーが罪を犯したことが学校へと連絡され
捕まった三人の親は警察へ急いでしまったため
残った三人の親は学校で待機していたのだとか。
「あ、それと原田さんにかわってもらえますか?」
電話越しで、受け渡しのやり取りが交わされると
「はい、先ほどはありがとうございます。 それで何かあったのでしょうか・・・」
携帯に向かって
私が果物食べちゃったの!
と、大声で叫ぶ原田さん。
「ということです。 俺にはこの子が悪い子にはとても思えないのですよ。 謝罪もしてくれましたし、あとはその果物の代金なのですが・・・」
「はい、支払わせていただきます! おいくらでしょうか?」
「値段の方は探索が終わり次第確認してきますので、娘さん達を送り届けた際にお伝えします。 そこまで高いものではないと思いますので安心してください」
「わかりました、余裕を持って用意しておきます! ご迷惑をおかけしました!」
挨拶を終え、三人に向き直ると
「さて、今度は君たちの番だ。 ダンジョンは甘くはない、死ぬ覚悟はできているか?」
すぐに はい! と答えた葉山さん
少し悩んでから 行きます! と答えたのが花山さん
そして原田さんだが
「ごめんなさい、やっぱり私はいけません。 本当にごめんなさい!」