二層まで
荒らされた庭も、三人が手伝ってくれたのですぐに片付けることができた。
さて、そろそろミュータントメロンを蘇生させますか。
越田とかいうクソガキから奪い返したミュータントメロンと、根がやられてしまったミュータントメロンの株を合成樹に放り入れる。
本当ならば、もう一つ欲しいところなのだが・・・
「ん?」
どうせ半端な物ができる可能性が高いのならば、ここで改良しておくのも悪くないのかもしれない。
今回はそうだな、白い魔石でも混ぜてみようか。
結果として、白く光る種が出来上がった。
マジカルメロンの種:成長した果実を口にすると稀に技能を取得することがある
おおう・・・。
例え稀にであっても、食べるだけで技能が取得できるのは手放しで喜べる。
これまで、長いことダンジョンに潜ってきたが
俺が取得した技能は僅か三つだ。
それも中々に危険な戦いを繰り返しての結果なので、無事に成長してくれるように毎日の世話は欠かさずにしよう。
ミュータントメロンの問題はこれで一先ず片付いたが、問題は後ろの三人だ。
「待たせたね、それで君たちはどうするのかな?」
帰るにしても街までは遠すぎるだろう。
「あの、本当にご迷惑をおかけしました!」
ん??
「何かあれば精一杯お手伝いしますので、どうか学校には・・・」
あ、言い方がまずかったのかな。
「ああ、ごめんごめん。 君たちに特に何かすることはないよ、この後どうするのかなって気になっていただけさ。 帰るにしても大変だろう?」
家から駅まででも十キロを余裕で超える距離がある。
自転車等の乗り物も見当たらないが、どうやってここまで来たのだろうか。
「そういえば、ここまでどうやって来たの? 流石に歩きってことは・・・」
「その・・・、徒歩出来ました」
まじかよ!
「え、部長は確か君だっけ?」
最初に玄関で声を張っていた子、四人を止めようとしていた子に向かって聞いてみたのだが
「いえ、部長は横井君・・・。 あのキュウリを踏み荒らしていた人です」
え、それで別の子に挨拶させてたの?
「そっか、君も苦労してたんだね」
「はい・・・。 あ、この後のお話しでしたよね!」
おっと、脱線してしまった。
「まずはそうですね、自己紹介からした方がいいですよね」
と一度区切り
「改めまして! 私は波瀬川高校で迷宮探索部に所属している葉山といいます!」
「同じく、花山です! ご迷惑をおかけしました!」
「えっと、原田です。 勝手に食べちゃってごめんなさい、美味しかったです!」
なぜかプラムが頷いている。
「俺は井出だ、よろしくね。 帰るなら街まで連れて行ってもいいんだが、折角だから少しだけ覗いていくか?」
二層までなら何も出ないから大丈夫だろう。