真っ青
「おい、足をどけろ犯罪者」
「はあ? 何であんたの言うこと聞かなくちゃいけないわけ? それに人のことを犯罪者とか言ってたけどさ、犯罪者はあんたのことでしょ? ダンジョンを所有してるくせに隠しちゃってさ! どうなのよ? 何とか言ってみなさいよ!」
う・・・うぜぇ・・・。
ダンジョンを保有していても公表しなくてはいけないわけではない。
ダンジョンの扱いは、その土地の所有者に決める権利があるということは
政府によりしっかりと公表されているのだ。
ダンジョン探索部とか名乗ってた癖に調べてもいないのか・・・。
「で? 言いたいことはそれだけか? ダンジョンで入手した物の窃盗は重罪だ。 知らないなんてことはないだろうな?」
「そんなのあんた達が勝手に作ったルールでしょ! 知らないわよ! 守る必要なんかないわ!」
「ちょっと越田さん! これは政府が発表したことよ! なんで知らないのよ!」
おっと
止めようとしていた子が怒り始めたぞ・・・。
「部長も部長です! 朝早くから押しかけたり、よそ様の庭に勝手に入り込んだり! 必死で止めたのに・・・」
止めようとしていた子はその場で泣き崩れてしまい、もう一人の女の子が泣きながらも慰めていた。
「そこの二人は気にしなくていいよ、何もしていないじゃないか」
とそろそろお巡りさんが到着する頃合いだ。
あの四人と一緒にいると誤解されかねないので、二人組を縁側に座らせて四人組に向き直る。
ミュータントメロンを鑑定したのだが
踏みつぶされたミュータントメロン:根を傷つけられて枯れるのを待つミュータントメロン。
こういう時だけ嫌な説明文出すのどうにかしてくれないかな。
「おい、お前が抱えてるメロンな。 ミュータントメロンっていうんだが、その一株しかなかったんだ」
「な・・・なかった?」
「ああ、お前が植木鉢を割ったおかげでな。 それだけじゃない、今も根を踏んでいるじゃないか。 そいつはもう死んでしまった。 お前が殺したんだよ」
鑑定できる俺だけが知った情報を、ダメにした本人へと叩きつけた。
その後ろの三人は、まるで他人事のように
「あーあ」
「やっちまったな越田」
などと言い合っている。
お前らも同罪だからな?
あれこれと問答を繰り返すと
レイズがお巡りさんを背に乗せて帰ってきた。
お巡りさんの顔が真っ青なのだが・・・。
「おかえり、ありがとうな」
レイズの鼻頭を軽くなでてやると、プラムの横で再び威嚇に加わった。
「お巡りさん大丈夫ですか?」
お巡りさんはコクコクと頷くが、どうみても大丈夫ではないので
お巡りさんが落ち着くまで一通りの流れを説明した。
「なるほど、そういうことですか。 で、君たちは自分がしたことを理解しているのかな?」