表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/170

常識知らず

現在、国内で見つかっているダンジョンは七カ所ある。


これは俺の家も含めた数で、当然テーマパークの決壊したダンジョンも含まれている。


北海道に二つ、そして岐阜と静岡と長野に一つずつだ。


国外ではまだ正式な発表はされていないが、迷宮専門家とやらの話では


恐らく百を超えるのではないかと予想されている。


そして、国内では七つの内五つのダンジョンにバリケードが築かれている。


その脇に受付が設けられ、簡単な身体検査が行われる。


その検査をパスした物だけがダンジョンへと潜れるわけなのだ。



だが、その身体検査をパスした者でさえも多くがダンジョンで散っていく。


未帰還報告があがれば、その数に応じて検査も厳しくなっている。


死亡者の報告を受ければ、そのダンジョンでの死亡者数がカウントされて


その数字で難易度が決められていくのだが


現在、一番低い難易度に設定されている岐阜のダンジョンヘと潜ろうとした高校生グループが拘束されたという。


理由は単純で、興味を持って乗り込んだはいいものの


受付で検査に落ちてキレだした高校生を捕縛したのが今回の事件だ。



俺が目にしたこの記事の日付が二日前のものだったので、問題自体はすでに片付いているものだと思い


気付けば時間もいい頃合いなので、パソコンの電源を落として眠りに就いた。


そして翌日


ドンドンドン ドンドンドン


「ごめんくださーい!」


時計を見たら、まだ午前4時半だ。


何を考えてこんな時間から訪問してくるのだろうか。


玄関を開けると、ブレザーを着た学生がこちらを見て驚いていた。


驚きたいのはこっちだ。


学生も一人ではなく、六人もいたので


とりあえず玄関を閉め、もう一度眠ることにした。



「ちょ、ちょっと! 訪ねてきた人に対して失礼じゃないですか!」


聞こえない聞こえない。


ガラガラと玄関を閉めると、普段は使用することのない錆だらけの鍵で施錠した。


ドンドンドン ドンドンドン


うるせー・・・


ドンドンドン ドンドンドン


「開けてくださーい! ちょっとー!」


うぜー・・・


「おい手前等どういうつもりかしらねーけどさ、常識を学んでから出直して来いよ。」


全く、ストレスでうちのペット達の生産物が採れなくなったらどう責任取るつもりなんだ。



その後、音は止んだのだが


まだあの場に居座っているようだ。


全く迷惑な奴らだ。


俺も中々に常識知らずだがあそこまでじゃないぞ。


非常識な奴が訪ねてきたのなら、当然その理由もろくなものではない。


ふと縁側の雨戸を閉めていないことに気付き、向かってみると


学生たちは玄関から庭へと移動していた。


そして・・・


「すっげー! 見たこともない果物だぜ!」


「本当だ! この樹も普通じゃないよ! なんか波打ってるし!」


「あ! これおいしー!」


あまりの光景にしばらく呆けてしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ