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翌日昼休みになり、いつもどおりABC核弾頭で楽しく話していると、
「ちょっと……いいかな?」
と、綺麗なブスが話しかけてきた。
「何か用かな?」
初めて見る子だ。
逆ナンですかね。
図書室にいつもいる美少女、って感じだ。
「やっぱり覚えてないんだ。私、馬場奈々っていうの」
バナナちゃんか。
「初めまして、じゃないの?俺は月村結鷹だ」
「結鷹は覚えてないんだね。私は架那ちゃんにも会ったことがあるんだよ」
架那のことも知ってるのか。
なんで俺は覚えてないんだ?
「俺は覚えてるぞ!結鷹の彼女だ!」
「俺もそうだと思ってたぞ!」
「最近は見てなかったな!」
幹部が知っているってことは事実なんだな。
「……って彼女!?」
バナナちゃんが顔を赤くしてうつむく。
「え、まじか?」
「そうだ」
「なんで覚えてないんだ」
「爆発しろ」
お前彼女いるだろ、とか突っ込む余裕はない。
キーンコーンカーンコーン、と予鈴がなる。
「私、次美術で教室移動あるからもう行くね」
「お、おう」
バナナちゃんが行ってしまった。
幸か不幸か、初めて逆転以外に謎を見つけたな。
俺は授業をまともに聞くことも出来ずに放課後を迎えた。
「とりあえず部活行くか……」
俺は教室を出て部室に向かった。
「結鷹ー!」
名前を呼ばれて振り向くと、バナナちゃんだった。
「バナナちゃんか、こんな場所に何の用だ?」
「部活だよ。バナナちゃんって呼び方、わたしのこと思い出したの?」
「いや?バナナみたいな名前だと思ってそう呼んでみただけだよ」
「そっか。付き合い始めてからは奈々って呼んでくれたんだよ?」
「付き合い始めた、とかそこらへんの経緯を聞かせてほしいんだが」
「うーん、長くなっちゃうな。今日は部活自主参加じゃないんだよね」
「自主参加?もしかして部活ってオタ研か?」
オタ研とはオタク心理研究部の略称のことだ。
「え?知ってるの?というかまさか新入部員って結鷹!?」
「そうだ。あのオタク仲間の手助けをしようと思ってな」
「そっかー。『男子の新入部員が入った』って怜からメールきてたからドキドキしてたんだ。結鷹なら安心だね」
「随分と俺のことを信頼してくれてるんだな」
「彼氏だったからね」
ちょっと寂しそうな顔をするバナナちゃん。
何か言ってあげようと思ったが、部室に着いた。
「こんにちはー」
部室に入って挨拶をする。
既に三人とも部室に来てて楽しそうに喋っている。
それぞれの言葉で挨拶をしてくれた。
「二人は知り合いなの?」
怜が一緒に入ってきた俺たちを見てそう言う。
「知り合いだったね」
含みのある言い方をしてみる。
「ちょっとワケ有りなんだよね、今日は部活休ませてもらえないかな?」
バナナちゃんがそう言い出す。
「部活後でもいいんじゃない?」
「うーん、早めに話しておきたいし……」
「用事があるなら休んでいいのよ。今日は先生来れないみたいだし」
怜がそう言ってくれた。
「ありがとうございます」
これは、部活仲間としてではなく、部長に対する部員からの敬意だね。
「はーい。また明日ね」
「うん!また明日!」
「じゃあ失礼しましたー」
凛と悠香もバイバーイ、と言ってくれた。
俺はバナナちゃんと学校を出て、駅前のファミレスに入った。