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逆転  作者: Nonameの名前
逆転
3/21

−03

「落ち着いたか?」


「……はい」


 美人ちゃんは、


 公園に連れてくる途中で我に返ったようで、また顔を真っ赤にする。


 今回は確実に羞恥心だろう。


「それでなんて言ったんだ?というか何人なんだ?」


 ベンチに座った俺の隣にちょこんと座る。


「フランス生まれで8歳になった時にこっちに来たの。それでさっき言ったことは……」


 美人ちゃんはうつむいて喋らない。


 フランス人なんだな。


 そういえばフランス人形みたいだわ。


 あれ?フランス人形ってなんだっけ。


 まぁいっか。


「言いたくないことなのか?俺がしゃくにさわるようなこと言ってたなら謝るよ」


 俺がそう言うと、


「あのさ、私のこといじめてるわけじゃないの?」


 と、不安そうな顔で言う。


「いじめる?俺そんな酷いこと言ったか?俺が言ったことと言えば、『君には分からないよ』くらいじゃないかな」


「違うわ。私のことを……だって言ったの」


「なんだって?」


「私のことを美人だって言ったの!!」


 顔を真っ赤にして叫ぶ。


「え?そう言われるの嫌だった?でもそうか。俺みたいなきもいやつにそんな事言われたら嫌なんだな。ごめんな」


 自分で言ってて辛いけど、そうなら申し訳ないってのは本当に思ってる。


「何言ってるの?私はブスだし、君はカッコいいじゃん」


「は?」


 何を言ってるんだろうか。


 本当に今日はわけのわからない日だ。


 もう何も考えたくないし、何も考えない事にしよう。


 ありのままを受け入れるんだ!


「そっか、じゃあ俺と付き合ってくれないかな」


「え!?」


「いや、いいかなーって思って……」


「……よ」


「なんか言った?」


「いいよ!」


「え?何が?」


「付き合ってもいいよ」


「ひょぇぇぇええー?!?!」


 自分でもびっくりするほど変な悲鳴が出た。


「何よ。君から言ってきたんじゃない」


「その付き合ってもいいって言うのは、文化祭の買い出しに付き合ってもいい、とか空手の練習に付き合ってもいい、とかの付き合ってもいいじゃなくて、ハート形のストローで同じ飲み物飲んたり、砂浜で追いかけっこしたりしてもいい、って意味の付き合ってもいい、だよね?」


「ちょっと違うけど大体合ってるよ」


 ちょっと違う?


 ちょっとってなんだろうか。


 いや、俺は考えるのはやめたんだった。


「そっか。じゃあまずは自己紹介しよっか」


「そうしよ!」


「俺は一年D組の月村つきむら結鷹ゆたか、結鷹は完結の結に、鳥の鷹って書くんだ」


「私は二年D組のアメリア・シャルトー。友達からはアミーって呼ばれる事が多いかな。結鷹はなにかあだ名とかあるの?」


 ひとつ上の学年なんだな。


 でも今は俺の彼女だしタメ口でいいよな。


「ハゲタカとかアホウドリとか呼ばれてたな」


 ひっどい呼ばれ方だけど、なんでだかそんなに気にならなかったな。


「そんな酷い事言う人がいるの!?私はブスとかよく言われてたけど……」


「だからなんでアミーがブスなんだ。こんな綺麗なのに」


「だから結鷹は変よ。私はブスなの。生まれてからずっとそう言われ続けてきたんだから」


「あのさ……俺今すごいことに気付いたんだけど、もしかして太ってて肌が汚い人って美人?」


「そうそう。脂肪が沢山ついててよく汗かくような女の子が可愛くて素敵だわ」


「まじか」


 いや、まじか。


 まじなのか。


 それならさっきの豚子ちゃんマジックも成立するんだな。


 いや、マジック自体は俺が粉砕したが。


 何が起きてるんでしょうか。


「もしかして俺がカッコいいってのも本当?」


「もちろん本当だよ!太ってたり痩せてたり、あとはこれは男女ともに言えるんだけど、顔が整ってない人の方がいいんだ。だから私みたいなのはブスなんだよね。って何当たり前なこと言ってるんだろうね」


 俺はもう納得したことにしよう。


 なんでだかは知らないが、


 美的感覚が逆転しとる。


「じゃあ、豚は可愛い?」


「うーん、きも可愛い?」


「じゃあ、昆虫は?」


「可愛くないよ!?」


「じゃあ、最近イチオシの芸能人は?」


「アン◯ールズは両方とも大好き!」


「一番男子でかっこいい職業は?」


「やっぱ相撲かなー」


 まじか、アミーさんまじパナいっす。


 これ多分、人間限定の逆転ですな。


「そっかそっか!」


「うんうん!」


「そういえばなんであんなとこにいたの?」


「文化祭の手伝いしてたんだけど、買い出しに来てて……あああ!!私もう戻るね!」


 アミーは全力疾走で学校へと戻っていった。足速いなぁ。


 どうやら買い出しの途中で俺と付き合ってしまったらしいね。


 俺も学校もどろうかな。


 なんとなく状況分かったし、このままじゃ家に帰れないからな。

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