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俺は今、駅前の広場のカップルが待ち合わせるような場所に座っている。
お天気お姉さんの言ったとおり雲ひとつない青空が広がってる。
お天気お姉さん、とか言ったけどお天気おばさんって感じだった。
太ったメガネのおばさんが綺麗な声でお天気伝えてたね。
また脱線しちゃったな。
そう、学校から逃げたところまでは良かったんだが、
ポケットに入れてた携帯以外に何も持たずに逃げ出したから、
電車に乗れずに途方に暮れていた。
学校に戻る訳にもいかないし当分このままだな。
思えば最近おかしい事は色々あった。
昨日まで1週間インフルエンザで学校を休んでいたんだが、
普段は素っ気ない妹の架那が、
ヤケに楽しそうに世話してくれた。
それに今日は色んな人にチラチラ見られる。
ズボンのチャックが開いてるか、
鳥のフンでも頭についてるかと思って、
何度も確認したが何も異常はない。
そしてあの恐怖の文化祭マジックだ。
俺に告白してきた豚子ちゃんもだが、
周りの雰囲気もおかしかった。
普通あんな子の文化祭マジックであんな風になるか?
それとも豚子ちゃんはいじめられていて、
罰ゲームで俺に告白してきたとか……。
そんな雰囲気じゃなかったよな。
豚子ちゃんのあの素振りは、どう考えてもぶりっ子キャラかなんかだった。
あんな風に、(普通の子に)上目遣いで恥ずかしがって告白されたら、俺なんかイチコロだ。
キュンキュンラブラブハッピーカップルになってしまうこと間違いなしだ。
それにしても何だったんだろう。
「あーもー!意味わからん!」
「何がわかんないの?」
前から同じ制服を着た人がやってきた。
顔を上げると、
とんでもない美人がいた。
金髪青眼の人形みたいな顔に、
制服の上からでもわかるぼんきゅっぼん。
なんて綺麗なんだ。
こんな子うちの学校にいたんだな。
「君みたいな美人にはわからない話さ……」
俺はため息をつく。
今俺が欲しいのは、悩みを解決してくれる人なんだ。
「な、なんですって!?」
美人ちゃんが顔を真っ赤にして叫ぶ。
周りの人が一斉にこっちを向いた。
その視線に気づいて恥ずかしそうにうつむく。
「ごめんごめん。怒ったなら謝るよ。でも本当に美人ちゃんには分からないんだ」
「だから何よ!馬鹿にしてるの?」
「馬鹿になんかしてないよ。本当に本当に美人ちゃんには分からないんだよ」
俺がそう言うと、
美人ちゃんが顔を真っ赤っかにして、
「Je suis une fille parfaite‼︎‼︎ Pourquoi m'appelez-vous une belle femme‼︎‼︎‼︎」
と泣き叫んだ。
「は?」
周りがこっちを見ようが御構いなしに、
外国語でたぶん数々の暴言を俺に対して吐く。
そういえばさっきから流暢に日本語話してたけど、
この子は何人なんだろうか。
とりあえず迷惑だ。
俺は女の子の手を掴み、
無理矢理近くの公園まで引っ張っていった。