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評価の行方

俺は同時に、執筆することにも意識が向かった。

執筆をして、評価されると、戻れる可能性があるようだ。

執筆した作品はどうなるのだろう。


俺はそれを考えた。

するとモニターに

『優秀作品のゆくえ』

と書かれたテキストが現れた。


俺はそれを読む。


Q:優秀作品はどうなる。

A:ある風変わりな作家を通じて、人間界にも還元される。


Q:風変わりな作家とは?

A:名前は非公開。ただ物語と会話したり、作品にナンバリングするような変わった作家。


Q:優秀作品が出て作家が元の世界に戻れる流れ

A:作品が知り合いの目にとまり、これは知り合いが書いた作品なのでは?と感じる事


とあった。

俺は希望を持った。

作品が彼女に見られる日のことを。

普通に考えたら気付くことはないだろう。

でも実際にあったエピソードを踏まえれば、ブルーマウンテンの事をかけば、マスターが気が付いてくれるかもしれない、

そして伝えたかった、好きという気持ちが伝わるかもしれない、

そんな奇跡を信じた。


それから、一週間ほどバトルはなかった。

俺は端末のコンテンツを見まくっていた。

子供の頃に観た映画。

見たいと思ってみてなかった映画。

子供の頃好きだったアニメなど。

とにかく見まくった。

大人になって思うのが、

なにが良かったのか?理解に苦しむもの。

あと、この作品はこんなストーリーだったんだというものが、結構多いということだ。

特にアクションものの、ストーリーのチープさには驚いた。

有名俳優のアクションがなければ、完全に終わっている。

そう感じる作品も多かった。

人気俳優のギャラが高額なのもうなづけた。

俺は一週間ほど集中的に見ただけだが、神々がコンテンツに飢える気持ちが少しだけわかった気がした。



そんな事を考えていると。

ふたたび闘技場に俺は移動していた。


ふと見上げると、スクリーンに、お題と書かれた文字が出ていた。


「呪われた指輪を手に入れた友人を助けよ。


友人は呪われた指輪を手に入れてしまいました。

この指輪は売ることも捨てる事もできません。

3日後指輪の呪いは発動し、友人はミジンコになってしまいます。

あなたなら、友人をどう救いますか?


今回はお題に対して手元の端末に論理展開した文を書いてください。

制限時間は5分」



と書いてあった。

そしてそれが1分ほど表示されたあと、カウントダウンがスタートする。


「それではご記入ください」

とアナウンスが流れる。


俺は考えた。


友人がミジンコになる。

それはそれで面白そうな気もするが、

そんな回答はアウトだろう。

しかし友人というのは、曖昧だ。

恨みのある友人なら、放置するのもありだが、

好きな友人なら救うだろう。

しかし、どうやって?

売るのもダメ。捨てるのもダメ。

ではあげるのは?

貰ってくれる人がいるのか。

しかし貰ってくれる人が他人とは限らないしな。

SNSでこの指輪あげますとしたらどうかな。

でもな。

呪いの指輪としって、あげたとしたら倫理的に問題がありそうだな。

倫理的に問題がなさそうな方法。

なにだろう。

だめだ。

どうしよう。

あと一分しかない。


ええい。仕方がない。

「カバンに指輪を入れておく。比較的キレイな身なりをして、治安の悪いところをうろつき、カバンを置いてボーっとしたりしておく。

数時間もすれば置き引きにあうだろう。売ってもないし、捨ててもない。

盗まれたわけだから、呪いの発動は起こらない。

しかも罪悪感もわきにくい」

でいいんじゃないか。


俺は思い切って、そう書いた。



(ぴこんぴこんぴこん)

モニターに一斉に答えが提示された。



「A誰かにプレゼントする」


「B嫌いな人の家に言って埋めてくる」


「Cカバンに指輪を入れておく。比較的キレイな身なりをして、治安の悪いところをうろつき、カバンを置いてボーっとしたりしておく。

数時間もすれば置き引きにあうだろう。売ってもないし、捨ててもない。

盗まれたわけだから、呪いの発動は起こらない。

しかも罪悪感もわきにくい」


会場から、どよめきが起きた。


「では得票をお願いします」


(ぴこんぴこんぴこん)


「Aが1%、Bが0%、Cが99%でCの勝利です」

とアナウンスが流れた。


俺は神の方を見る。


と神はほくそえんでいた。



そして、ふたたびさっきの部屋に戻った。


「しかし……置き引きさせるとは、これは面白かったよ」

と神は言った。


「ありがとうございます。なんとなく思いついただけです」

と俺は言った。


「それが大事なのだよ。なんとなくの思い付きは、神の啓示であり、それが創作の源なのさ。世の中の作品の多くは、この思い付きの大事さを忘れてしまっている。だから凡庸なのさ」

と神は言った。


「そんなものなのですか?」

と俺は言った。


「いや。知らんけどな」

と神は言った。


「知らんけどなって。大阪人か」

と俺は神に突っ込んでしまった。


神はきょとんとしている。


「すみません。思わず突っ込んでしまいました」

と俺は言った。


「いや。いいんだ。そういうのがいいんだ。神につっこむ人間。素晴らしいじゃないか」

神は恍惚の表情で言った


「そうだ。我々は飽きているんだよ。全ての祭祀事、儀礼、なにもかもがテンプレ的だ。神を笑わせようという気概がない」

と神は言った。


「そりゃ。神さまって怖いですもの。怒りを買ったらどうしようとか。思いますから」

と俺は言った。


「それなんだよ。神への冒涜を恐れて、全てが保守的になる。それがあらゆるところにしわ寄せとなって訪れる。神にツッコミをしても良い。それくらいの感覚がないから、我々は暇なのだよ」

と神は言った。


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