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葛藤

「どうだった。おもしろかったね」

と神は言った。


「あれは彼女も俺の事好きだったってことですか?」

と俺は尋ねた。


「ふふふふふ。そういうのはね。聞かないのが花ってもんだよ」

と神は言った。


「俺、どうやったら元の世界に戻れますか?」

と俺は尋ねた。


「まぁ相当いい成績残したら、もしくは執筆して評価されたら戻れるかもしれないね。まぁムリだと思うよ。君やる気ないし」

と神は言った。


神は「では次の戦いまで休みたまえ。この部屋にあるものは自由に使ってくれても構わないし、自由に食べても飲んでもいい」と言い残し消えていった。


俺は部屋を見る。

部屋にあるのは

・端末

・FOOD、DRINK、OTHERと書かれた棚

・ベッド

・ソファ

・モニター

だった。

カーテンからは外の光が漏れている。

俺はカーテンを開けて外を見る。

するとそこにはただ真っ白な光の世界があった。窓はあるが開く気配はなかった。

続いて、部屋に唯一ある扉を開く。

そこには風呂とトイレがあるだけだった。

まさに完全な密室。

俺はこの部屋からどうやって移動しているのだろうか?

疑問がよぎる。

まぁ神が俺をこの世界に呼んだ時点で、俺の中の常識は崩壊している。

考えないようにしよう。


俺はFOODという棚を開く。

想像ではニンジャバーガーがあるに違いない。

俺はそう思った。

FOODの棚を開けると案の定ニンジャバーガーだった。

だとすると、

DRINKはブルーマウンテンか。

俺は棚を開けた。

ブルーマウンテンだった。

俺はニンジャバーガーとブルーマウンテンを取り出し、食べ始める。

腹が空いていたので、数分で食べきった。

なにか他の食べ物はないのか?と俺は思った。

例えばあのまかないとか。

そう思った。

それと同時に、さすがにそれはないかと思い、FOODの棚を見る。

するとそこには、あのまかないがあった。

これはどういうことだ。

もしかすると、この棚は事前に想像したものが現れるのではと考えた。

とりあえずまかないを食べて、はみがきをしたいとイメージしてOTHERを開けた。

すると入れ歯洗浄剤が現れた。

俺は扉を閉じる。歯ブラシと歯磨き粉をイメージした。

そして扉を開くと歯ブラシと歯磨き粉が現れた。

やはりだ。

これはイメージしたものが現れる棚のようだ。

俺は歯を磨く。そして歯ブラシと歯磨き粉を前に考えた。

これは面白いなと。

神の世界ではなんでも手に入るというが、こういう事なのかと。

俺は思った。

しばらくすると、歯ブラシと歯磨き粉は消えていた。

まかないを入れた皿やニンジャバーガーの包み紙、ブルーマウンテンのカップも消えていた。

しかしお腹は膨らんでいるし、歯もスッキリしている。

これはどういうことだろう。

経験は残るが、モノだけは消えるという事なのだろうか。


俺は端末を手に持った。

何も表示されていない。

なんだお笑いでも見たかったのに。

そういうと、お笑い一覧というリストが表示された。

現代のマイナーな芸人から、有名なコメディ映画。

果ては江戸時代の落語まで、ありとあらゆる作品のリストがあった。

俺はためしに江戸時代の落語を見てみる。

鹿野武左衛門、烏亭鳶馬、初代三遊亭円生、初代三笑亭可楽などと書かれたあった。

その中で一番古い。

鹿野武左衛門を見てみる。

うん。ちょっとわからない。言葉遣いが江戸のものなので、わかりにくいようだ。

映像は白黒のものをイメージしていたが、カラーでしかも鮮明だった。


これが神々の娯楽の楽しみかたか……

と俺は思った。


こんなにコンテンツがあるなら、わざわざ俺を呼ぶ意味がないのでは?

そう考えた。


そんな事を考えていると。

ふたたび闘技場に俺は移動していた。


ふと見上げると、スクリーンに、お題と書かれた文字が出ていた。


「微妙な空気の開放をせよ。


面識のない人と、とつぜん二人きりになった。これを上手く切り抜けて、仲良くなる声のかけ方を示せ。


今回はお題に対して手元の端末に論理展開した文を書いてください。

制限時間は5分」


と書いてあった。

そしてそれが1分ほど表示されたあと、カウントダウンがスタートする。


「それではご記入ください」

とアナウンスが流れる。


俺は考えた。


どんな話題だと良いだろう。

趣味か……。

いや見合いでもないし。

どこから来たの?

いや個人情報は問題あるだろうな。

天気はどうだ。

これなら無難かな。

いや盛り上がらないよな。

今日超晴れでウケますよね。

いやウケないだろ。

今年は柿食べました?

えっ知り合い?みたいな感じになるよな。

というか。私柿食べないんですよとかにならないか?

それに。

柿なのか、牡蠣なのか。よくわからないもんな。

花卉ではないのは確かだけど、

パーシモンの柿。オイスターの牡蠣。

そうか木になるなる柿ならいいのか。

いやこれなら、気になる牡蠣と思われるかもな。

海の牡蠣ならさすがに間違えないか。

でもそもそも柿では盛り上がらないか。

だめだ。

どうしよう。

あと一分しかない。


ええい。仕方がない。

「こういう面識のない方と、とつぜん二人っきりになるシチュエーションって、何を話したらいいのか困りませんか?」

でいいんじゃないか。


俺は思い切って、そう書いた。



(ぴこんぴこんぴこん)

モニターに一斉に答えが提示された。



「Aいい天気ですね」


「B今日はどちらから」


「Cこういう面識のない方と、とつぜん二人っきりになるシチュエーションって、何を話したらいいのか困りませんか?」


会場から、どよめきが起きた。


「では得票をお願いします」


(ぴこんぴこんぴこん)


「Aが5%、Bが1%、Cが94%でCの勝利です」

とアナウンスが流れた。


俺は神の方を見る。


「おおやるね」

と神は言った。



そして、ふたたびさっきの部屋に戻った。


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