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異世界執筆器官

「神さま。ありがとうございます。俺これから執筆に入りたいと思います」

と俺は言った。



「そうかい。それはいい心がけだ。君は今の段階でも残り300ポイント以上あるから、しばらくそれを使って。バトルを断ることができる。別に参加してもいいが、1回のバトルを断るのに1ポイントの消費でいいからね。しばらく休んで執筆するのもいい。

またバトルに参加する気になった時に現れるよ。

質問はこの端末が教えてくれるからね。

私はいらないだろう」

と神さまは言い、消えた。


俺は執筆することについて考えだした。


どんなテーマがいいだろうか?


喫茶店の恋物語だろうか。

ある常連の40過ぎの男がそこの20代の店員に恋をする話。

だめだ。見る気がそもそも起きない。

しかしな。

常連の40過ぎの男が、そこの20代の店員に恋をする話なのは、省けない。

テーマというより、切り口を変えよう。

まず省けないモノはなにか?

喫茶店

40過ぎの男

フリーター

20代のアルバイトの女

ブルーマウンテン

突然の別れ

始めてのプレゼントと手紙

髪留めをホメたエピソード

まかない

弟の病気の完治


これだけのエピソードがあったら、気が付いてくれるかもしれない。

本当にそうか?

いや多分気が付いてくれるだろう。

よし。このエピソードは入れよう。


あとは切り口だな。

どんな話が良い。

ラブストーリー?

いや40と20過ぎってのが、そもそも見ないだろう。

王族とメイドとか、そういう設定でもないし。

フリーター×フリーター

で誰が見る?

見ないよな。


どうする?


私小説

この作品を私小説にしてはどうだろうか?

俺が今まで見てきたことを書く。

神々のやっている事を暴く。

これはどうだろうか。

神々は怒るだろうか。

いや。

そもそも、今の俺でさえ、この状況が半信半疑なのに、

普通の人が本気にするわけがない。

そうか。

こっちの世界のことを書いても、

フィクションだと思われるのか。

しかし、

喫茶店のマスターやアルバイトの子はどうだ。

これもしかして。

どこに行くかも告げなかった。

それに、髪留めのプレゼント。

弟の急な回復。

きっと気が付いてくれるに違いない。

しかし、これが彼女の元に届くのだろうか。


言ってみれば、これは彼女へのラブレターのようなもの。

そんなものが人々に支持されるのだろうか。

それ以前に、神々の審査を通過するのだろうか。

たしか神々はテンプレに飽きていると言っていたな。

これはテンプレか?

いや違う。

でもテンプレに飽きているからといって、ただの荒唐無稽な話なら

どうだろうか。

さすがに、それはダメだろう。

俺の話は荒唐無稽だろうか。

あっこれはわからない。

もう通常の感覚ではないからな。

俺は執筆なんかしたことがない。

ラノベとかも読んだことがない。

でも小学生のころ。

読書感想文を書くのに、童話とかは読んだことがある。

ちょっと待てよ。

俺、小学生の頃は、童話とか結構読んでいたかもしれない。

それから、ゲームにハマって、本を読まなくなった。

ということは、ゲームのシナリオ自体には理解はある。

こんな粗末な経歴で、本なんてかけるのだろうか。

今から読むか?

いや今から読んだところで、そんなもの付け焼刃だろう。

それに神々はテンプレを嫌う。

人の作品を見るということは、その作者のテンプレを入れる事になる。

いや。本当にそうだろうか。

違うかもしれない。

しかし、とにかく書かなければいけない。

俺は彼女に気がついて欲しい。

そして救い出してほしい。


さぁ書こう。

俺は端末を手にした。


ーーーーーーーー

神は創作物が好きだ。

そしてこれは神に執筆器官をインプラントされた男の話……

ーーーーーーーー

だめだ。

興味を引かれない。


書き直そう。


ーーーーーーーー

執筆器官をインプラントされた人間はたくさんいる。

そしてそれは神どうしのバトルに使われている事を皆さん知っているだろうか?


ーーーーーーーー

なんかな。

ピンとこない。


書き直そう。

冒頭を自己紹介から始めよう。


ーーーーーーーー

この物語の主人公は、

就職氷河期でフリーターを続けてきた男。

飲食やカラオケなどいろいろやった。

そんな男が選ばれた。

何に選ばれたって?

神々の娯楽のための小説家だよ。

えっ才能があるのかって。

才能なんてないと思うよ。

たぶんね。

小説とかを読み込んだのかって?

いや小説とかは読んでない。

ただ童話は鍵っ子だったので読んでいた。


俺は、パチンコと宝くじが趣味で、

あとはぼーっと人間観察している男。

彼女なし、夢もなし、未来もない。


俺は神に聞いたよ。

「なんで俺なんか選んだ」


神は言ったよ。

「お前一発逆転好きだろ。

お前みたいな空っぽの奴が案外化けるんだ」


俺は尋ねた。

「俺が化ける?」


「ああ化けるよ。ただそんな事はどうでもいいよ。

上手くできなけりゃ、ただのお払い箱だからね」

と神は言った。


「どういう意味だ」

と俺は尋ねた。


「用済みだってことさ」

と神は言った。


「じゃあ解放されるんだな」

と俺は言った。


「そうさ……、人生ってゲー厶だからね」

と神は言った。


「もしかして死ぬって事か」

と俺は尋ねた。


「あぁそうだね。

君たちの大好きなリセットボタンだよ。あれ……違うか。あぁ違う違う。電源オフだわ」

そう神は笑いながら言った。


「まじか……

じゃあ勝てばどうなる?」

と俺は冷静に尋ねた。

正直なんで冷静でいられるのか、てんでわからない。


「栄華を約束しよう」

と神は言った。


「一世一代の大博打だな」

と俺は言った。


「あぁそうだ。ようこそ。神々の狂気の物語大戦へ。僕は君を歓迎するよ」

と神は言った。


ーーーーーーーー

いいような気がするが、なんかイマイチ腑に落ちない。


少し角度を変えて書いてみよう。


ーーーーーーーー

器官は、体内で何種類かの組織が集まり、一定の働きをするものの事を言う。

心臓や胃や肝臓、肺などが代表的な器官だ。


執筆器官というのも、心臓や肺と同じように、創作する為に必要な組織が集まり、執筆を行う器官のことを言うと、私は神から説明をうけた。

しかし、これが心臓や肺のように、可視化できるものかどうかはわからない。

恐らくは、というか。

医学上は存在しない器官だと私は思っている。

ただ、神によって執筆器官をインプラントされた日から、私はおかしくなってしまったのだ。


5W1Hという言葉があるのは、あなたも知っているだろう。

賢明な諸君らにいちいち説明するのは、気が引けるが、

そう5人のWOMANと1回ずつHをするという事だ……。

あれ違う。

すまないな。

これも執筆器官の影響なのだ。

すぐに想像力が暴走する。


5W1Hとは

いつ(When)

どこで(Where)

だれが(Who)

何を(What)

なぜ(Why)

どのように(How)

という6つの要素で構成された、

情報伝達の重要なポイントのこと。

この要素を意識すれば、情報を分かりやすく整理しながら、解説することができる。


そうだな。

この5W1Hを使って、私が執筆器官をインプラントされた時のことを説明しよう。


いつ? 飲みに行った帰りだな。

どこで? なんか銀色にひかっている乗り物の中だな。

だれが? 神を名乗るものだな。

何を? 執筆器官を。

なぜ? 創作物が見たいから。

どのように? ごめん……、それは恥ずかしいから言えないや。


つまり、ざっくりと言えば、こんな感じで私は執筆器官をインプラントされたのだ。


もしかしたら、君たちのなかに、この執筆器官という作品を見て、無性になにか書きたくなったという人はいないだろうか?

君もこちら側の人間に選ばれてしまったかもしれない。

永遠に神を楽しませるだけの傀儡に君も選ばれたのかも。


ようこそ神々の物語大戦の世界へ


ーーーーーーーー

うん……

どうだろう。

面白くはあるが、なんかピンとこない。


これが神々にウケなけなければ、元の世界にリリースはされない。

元の世界にリリースがされなければ、彼女が見る事もない。

考えろ。

考えろ。

そう俺は1か月冒頭を考え続けた。


そしてようやく結論に達した。

これしか、ないな。

冒頭はこれだ。


ーーーーーーーー

『幻想奇譚』とは、現実離れした不思議な話のことを指すが、

君らの言う異界側からすると、君の生きている世界の話こそが、

幻想奇譚であるという単純な真理を忘れてはいけない。

これは創作物が好きな神々と、

それに翻弄される人間(作家)たちの物語。


ーーーーーーーー


俺は希望を持った。

作品が彼女に見られる日のことを。

普通に考えれば、気付くことはないだろう。

でも実際にあったエピソードを踏まえれば、ブルーマウンテンの事をかけば、マスターが気が付いてくれるかもしれない、

そして伝えたかった、好きという気持ちが伝わるかもしれない、

そんな奇跡を信じて。


あとは神々に託す。


END


この作品は虚構フィクションである。

だが、全てのフィクションが虚構であるとも限らない。

戻りたい男と、その男に恋する女。

再び出会うかどうかは、あなたたちしだいなのかもしえない。

あなたの街の喫茶店で―――

いま小さな恋の物語が始まっていないとも限らないのだから。



ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


この作品は完結していますが、

反響があれば続編を書く可能性があります。

ブックマークしておくと、もし更新された場合に追いやすくなります。


■坂本クリア作品

異世界・現代・コメディなど様々な物語を書いています。

次に読む作品はこちらから探せます。


坂本クリアの小説まとめ|全作リンク集

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/2898515/blogkey/3591538/


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