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しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる  作者: 余儀ノ理人


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学園編㊽

 ミカちゃんの師匠、モルセウスの問いの応えに戸惑っていると、悲鳴が聞こえてきた。

 まだ残っている魔導ゴーレムが生徒たちを襲っている。

 まずは、そっちをなんとかしないと……。


 みんなに声を掛け、もう一度“超電磁砲”を……そう思ったが、またゴーレムの中の魔力が爆発してしまったら……今度は結界に穴が空くだけじゃ済まないかもしれない。


 躊躇する俺の傍をナニかが一瞬で通り抜けた。

 ──バンボルトだった。


 バンボルトはゴーレムの巨体に歩み寄ると、ゆっくりと拳を構えた。


 ──構えただけなのに、空気が震えた。


 魔力の気配は……ない。

 魔法式も、詠唱も、なにもない。ただ──肉体。

 それは、純粋に鍛え抜かれた“打撃”だった。


 凄まじい破砕音の後、ゴーレムの頭部が粉砕された。


 いともたやすく、まるで陶器のように。

 あの魔導ゴーレムが……一撃で、瓦礫に変わった。


 「おもちゃで遊んでるほど、暇じゃないんでな」

 バンボルトの低い声が、耳に突き刺さる。


 誰も、動けなかった。

 打撃で破壊したからなのか、魔力の爆発もなかった。


 教師たちすら、息を潜め、魔力の詠唱すら始めようとしない。

 生徒、教師、その場に居た皆、ただ呆然とし、その視線のほとんどが──俺に向けられた。

 

 ──そうだよな。

 あいつが欲しいのは、俺なんだ。

 俺が渡れば、この化け物はそれ以上暴れない。

 俺が……出ていけば……。


 そのときだった。


 「電にゃん! 超電磁砲の準備するにゃん」

 隣にいたライミが、獣耳を震わせながら、バンボルトを睨んで言った。


 「ライミ……でも、あんな奴に……」

 初めて感じる圧倒的な存在感……あいつに攻撃なんて通じるのか?

 俺は躊躇い、言葉を失う。


 「アニキっ、諦めたらそこで試合終了だろ?」

 ライミに続き前に出てきたのは、トレスだった。

 もう、その名セリフをモノしたのか……でも、声が震えている。


 「電次郎さんが居なくなったら料理とかどうするんですか? IHコンロ使えなくなったら困りますよ」

 スイランもスタンガンを構えている……料理の心配とか、相変わらずだな。


 「おじさまには、まだちゃんとお礼ができておりません。ボルトリア王国への伝令も飛ばしています。きっとおじさまが見たこともないような褒美が送られてくるでしょう。だから、ここはなんとしても切り抜けるべきですわ」

 姫様が俺の前に出た。その顔は初めて会ったときよりも凛々しくなった気がする。


 「正直言って、魔王軍にだけは渡したくありません。俺も協力しますよ」

 ジェダくんも前に出る。なんだか、意味ありげな言葉だけど……頼もしいな。


 そして、最後にステラが小さく呟いた。

 「あなたは……“得体の知れない存在”です。先生も、魔王軍もきっとそう思っている……でも、だからこそ……見てみたいんです。あなたがこの世界で、何を起こしてくれるのかを」


 全員が──俺の前に立った。


 恐怖に震えながら。

 でも、迷いはなかった。

 魔王軍の幹部相手に、こんなにも無謀で、こんなにも真っ直ぐに俺を守ってくれようとしている。


 俺の胸に、何かが溢れた。


 だけど……くそっ、ここで涙を流すわけにはいかねぇ……。

 俺は守られる側じゃねぇっうの。


 こんなに良い仲間を危険に晒すことなんてできるわけねぇだろうがよ。


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