学園編㉓
学習環境が良くなれば、俺の電力漏れの原因も分かるかもしれない。
なら、やっぱり競技大会で一回でもいいから勝ってクラスランクを上げることが先決だ。
俺はライミと姫様を集め、作戦会議を開くことにした。
「つまり、個人戦が二回、ペア戦が二回、団体戦が一回。日ごとに競技が行われて、勝敗や技術点でポイントが加算されて順位が決まるってわけだな?」
「そうだにゃ」
経験者のライミに大会の概要を聞いたら、なんだか勝てそうな気がしてきた。
「これだけ細かくポイントが分かれてるなら、よっぽどのヘマをしなければランクアップも狙えるんじゃないか?」
「にゃーも、そう思うんだけどにゃ~」
「甘いですわよ、電次郎様」
姫様がピシャリと否定した。
「技術点なんて、審判のさじ加減ひとつでどうとでもなりますわ。高ランククラスの体裁を保つための“帳尻合わせ”があっても不思議ではありませんの」
なるほど、SSSクラスがZクラスに負けたとなれば、学校の体面に関わるのは確かだ。
「でもさ、そんな大それたことを考えなければいいんじゃないか? ランクを上げるだけなら、一つの競技に特化してポイントを稼げばいいってことだろ?」
「にゃるほど、さすが電さんにゃ!」
「そう簡単にいくでしょうか……やはり確実にポイントを取るには、勝利を収めることが一番確実だと思いますわ」
確かに、勝負に勝てば誰にも文句は言えない。それだけで堂々とポイントゲットできるか。
「それで、競技の内容はどうなってんだっけ?」
俺の問いに、ライミが丁寧に答えてくれた。
一日目、個人戦──《フォーカス・ストライク》
魔力を込めて的に打ち出す競技。ビームでもボールでも魔力があれば何でもOK。
的は距離・大きさ・動きが毎回変化し、精度・威力・コントロールで点数が決まる。
二日目、個人戦──《マナ・ブロウ》
肉体強化系魔法による接近戦オンリーの模擬戦。ライミの目が既にギラついてる。
三日目、ペア戦──《シールド・クラッシャー》
片方が結界を張って守り、もう片方が攻撃に集中。先に結界を崩した方が勝ち。魔法に疎いせいか、いまいちピンとこない。
四日目、男女ペア戦──《ポータル・ラン》
魔法空間のトラップを突破しながらゴールを目指す障害競技。ワープ、風、空中浮遊、落とし穴……盛り沢山。俺はこれ、出るより見ていたい派。
五日目、団体戦──《マナ・ラグナロク》
七人の魔力を一点に集め、最も威力の高い魔法を撃ち合う。単純明快、だけどZクラスには荷が重そうだ。
やっぱり個人戦かペア戦で地道にポイントを稼ぐのが現実的だな。
「それで……他に参加してくれるクラスメイトは、いるのでしょうか?」
姫様が不安げに問いかける。
「ステラだろ、スイラン、あとトレス。それに俺と……あと一人か」
教室中に響くくらいの声で名前を挙げてみたが──見事に全員、聞こえないフリを決め込んだ。




