メメント・モリ
死にゆく貴方へ。
死は別に特別でもなんでもない。生が特別でないのと同じぐらい。どこにでもありふれている。物事を過剰に賛美したり、忌避したりすることはそうでないことの裏返しに過ぎない。いくら崇め奉ったところで出会うのは形骸化した蜂の巣だけ。見るべきは洞窟の奥ではなく、自身の空虚な影。足跡はずっと続く。洞窟の火が灯される前にも、消え去った後にも。
死をゴールとするならば、貴方は間髪入れずにひたすらゴールし続けているのだし、それをただ自覚していないだけなのだ。あまりにもありふれていてもはや驚く事も反応する事も無くなっている。
死の舞踏。死を思え。軽やかなダンスを。それもとびっきりの。死ぬほど退屈している死神に目の覚めるようなラディカルなメロディーを届けよう。
死にゆく私より。