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救世主転生 ~死にたくなかったので、勇者覚醒イベントの攻略不能ボスを倒して最推し勇者を救おうと思います~  作者: 嵐山田
三章

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第20話 主人公と仲間

「ぬぉっ! この馬車、急に早くなってないかのう」


 俺が窓から顔を引っ込めるとユメが素っ頓狂な声を上げて小さくなっていた。


「ちょっと悪い予感がしたからな。御者に頼んで最速で戻ってもらうことにした。ユメは早い乗り物苦手か?」


 珍しく怯えた様子のユメにそう声をかける。


「う、うむ……どうやらこのスピードは……ちと怖いかもしれぬ」


 いつもより強めののじゃロリ口調に加えて定位置と言わんばかりに俺の膝上に移動するユメ。

 その体躯の小ささも相まって……これは、凄まじい威力だ。


『絶望勇者』内に出て来ていたらきっと大人気だっただろうな。

 そこまで考えて改めて皆の顔を見回す。


 いや、そういえばここにいる俺とエモニ以外は絶望勇者で登場するキャラクターじゃなかったわ……。

 皆こんなにかわいいくて美人なのに……まあ、あの鬱ゲー世界に出なくてよかったとも考えられるか。


 「ロティス? 何かニヤけてない?」


 久しぶりにゲームをしていた頃に思いを馳せていたせいか、顔に出てしまっていたらしい。

 エモニがムッとした表情で俺を見つめてくる。


 言われて自分の姿を客観視してみれば……ユメを膝に乗せながらニヤける男。

 ……これは非常に良くない。


「いや、俺は良い仲間を持ったと思ってさ」


 持てる頭脳をフル回転させ咄嗟にそう口に出す。

 とはいえこれも方便などではない俺のまっすぐな本音だ。


「ふふっ、そうね。あんなに小さかったロティスくんにエモニちゃんが今では王都でも指折りのコントラクターになっちゃうなんて」


 俺の言葉に最初に反応してくれたのはミナさんだった。

 隣に座るミリアと共に俺たちを慈しむような目で見ながら、感慨深そうにそう呟く。


「本当にね。いつの間にこんなに頼もしくなったのかしら」


 ミナさんに合わせるように今はミリアも久しぶりの姉モードだ。


「私もロティスの後をついてきただけなのに……まさかこんなことになるとは思わなかったよ」


「ワシは出会った時からロティスの異質さには気が付いておったがの!」


「異質なんて言ったら俺たち皆そうだろうよ……まあ、そんな俺たちだからこそこうしてやって来れたのかもな」


「そうね」

「そうだね」

「そうじゃの」


 きっかけは俺の何気ない一言。

 でも、そんな何気ない物からこんなにも重厚な絆を感じられるのは、本当に良い仲間の証なんじゃないだろうか。


 「ふふっ、皆、物語の勇者一行みたいだね」


 ミナさんの呟きに俺は穏やかな表情を返す。


 仲間の温かみを感じながら、俺たちは王都へと戻って来た。


 ◇◇◇


「おお、ロティスたち一行よ。よく来てくれた。今回のことはすまなかった」


 戻って早々王城の謁見の間に通された俺たちは、いつもより険しく王としての風格を纏いながらも明らかに憔悴していそうなディバン陛下に迎え入れられた。

 謁見の間には陛下のほかにクラリスやフィネレ、ヒナさんなど見知った顔から、おそらく重役なのであろう人たちが数名集まっていた。


「ロティスっ!」


 そして俺たちが膝を付く前にクラリスが飛びついてくる。


「大丈夫でしたか? お怪我は?」


「ありがとうクラリス。怪我は大丈夫だ。俺には頼れる仲間がついてるからな」


 そう言ってたしなめるとクラリスの様子は一転。

 自分の行いが大勢の目を惹いていることに気が付いたようで、サッと手を離すと照れた顔を隠すように俯いた。

 

 「……そう、ですね。ご無事で良かったです」


 そんなクラリスのおかげもあって幾分か場の空気が緩んだ。

 クラリスが陛下の方へ戻ったのを確認してから俺たちは改めて膝を付いた。


「ンンッ! それでロティスよ。ギルドのミナより大方の話は聞いているとは思うが」


 見なかったことにしてくれる様子のディバン陛下が強引に話し始める。

 

「はい、伺っております陛下。マーズのダンジョンブレイクと」


「うむ。フィネレよ。詳細な説明を」


「はい。今日から数日以内にマーズのダンジョン、修練の洞穴にてダンジョンブレイクが発生します」


 陛下に呼ばれて一歩前に出たフィネレは明確に起きると言い切った。


「もう、確実なのですね」


「いえ、百パーセント確実とは言い切れませんが、ここ最近の星詠の動きから極めて確率が高いと、そう判断しています」


 話すフィネレの顔はいつになく真剣だ。

 まあ、元のストーリーを知っている俺は置いておくとしてそれ以外だと未来を見ている彼女の意見をこの場でスルーすることは出来ないだろう。


「はい、ご英断かと。そして……被害規模のほどは?」


 この話題において一番重要かつ一番触れずらい部分に自ら踏み込む。

 問題はここだ。これに関してはもうほとんど俺の知っている『絶望勇者』からは乖離してしまったため、フィネレの未来予知だけが頼りなのだ。

 

「マーズは……壊滅します」


 一呼吸おいて、でも確かにはっきりとフィネレは言い放った。

 王族とは言え簡単には口にできない、してはならないほど重い言葉。

 だが、それを言わねばならないほどまずい状況なのだろう。


 謁見の間の空気がまた、俺たちが来る前のように張りつめる。


「止める方法は?」


 だが、俺は救世主だ。

 不相応な力だと思うこともあるが、こんな大層な名前を背負っている俺が、やる前から諦めるわけにはいかない。


 躊躇のない俺の言葉にフィネレは少し表情を明るくする。

 

「はい、先ほど見えた未来なのですがロティス様にはヨハンナさんを……」


 そこまで言いかけた所で慌ただしい足音と共にドアが蹴破るように開かれた。


「ロティス! 私だ! 頼む! 父と兄を!!! 救ってくれ!!!」


 もはや絶叫ともいえるような声で謁見の間に飛び込んできたのはマイア村で一悶着あり、現在は謹慎中だったはずのルシール公爵家次男ユーリ・ルシールだった。

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