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18/22

18.バザン部隊

 午前0時。ワタルたちはドラゴスール王国まで残り50キロほどのところまで来ていた。

 その時、ワタルが急に呟く。


「や、やばい」

「急にどうしたのよ? ワタル」

 フブキが不安そうな顔で問いかけた。後ろについて来ているマンダム、サーザ、チュズスも怪訝な表情を浮かべていた。


「ソニンが鳴いてる」

「ソニンって、アイレスの護衛竜よね?」


「ああ、そのソニンがアイレスに危機が迫っていると鳴いてるんだよ」

 ワタルの表情からフブキは事態の深刻さを悟った。


「わ、私たちには何も聞こえないけど……」

「ソニンは遠く離れていても選んだ相手にだけ声を届けることができるんだ!」

 フブキにもワタルの焦りが手に取るようにわかった。


「ワタル、今私たちにできることは少しでも早くアイレスの所に辿り着くことよ。それまではソニンを信じよう」

 フブキはの言葉でワタルは冷静さを取り戻した。と、同時に前方から迫りくる脅威を感じ取った。


「そうだな……ミラ、ヒドゥン、カー、サウン、ルーズ、サミダレ、モグル! 目的地まで残り50キロ、ここまでは速度を合わせてたけど、それはもういい、目的地で、アイレスのいる場所まで、それぞれ自身の最高速度で飛んでくれ!!」

 ワタルの声に呼応し、竜たちが同時に鳴いた。その瞬間、竜たちのスピードが一気に上がる。


 そしてまたワタルは叫ぶ。

「マンダム! サーザ! チュズス! 誰が最初にアイレスに辿り着けるかわからない。会ったばかりで申し訳ないけど、もし真っ先に辿り着いたらアイレスを守ってくれ! 頼む!」

 マンダム達は微かに笑った。


「レディーのピンチ、僕が守らないはずないだろ」

「ははは、いいな、お前、気に入った。お前の所の姫様も俺が守ってやるよ」

「兄様が慕う姫、必ず守るわ」

 各々、快い返事をした。


「ワタル! 私は!?」

「アイレスと一緒に逃げろ!」

 フブキは少しムッとしたがすぐに快諾し


「わかったわよ!」

 と叫んだ。


「じゃあ、頼んだ!」

 そう叫ぶとワタルはカーの肩をポンっと叩いてからカーから飛び降りた。


「ワタル、何してるの!?」

 直後ワタルとカーが黒い光となって加速する。向かうその先には大きな4羽の大きな大きな怪鳥がいた。


「まさか、あれはスカイのバザン!?」

 バザンが口から火を放とうとした瞬間、ワタルとカーがバザンたちに飛び掛かった。


 バザンたちはそれを躱した結果、火を吹き出せなかった。ワタルとカー以外の竜たちがバザンたちの横をすり抜ける。


「ワタル!!」

「やっぱこいつらがバザンか、先行ってくれ、俺はこいつらと話をつけてから行く!」


「ワタル!!」

 フブキはもう一度叫んだが、ワタルの耳には定かではなかった。


「おいおいマジかよ、あの小僧! 竜を一体引き連れているとはいえバザン4羽と空中で戦り合う気かよ」

「無謀ね」

「しかし、僕たちは進むしかない、あの少年の思いに応えるために、ですよねフブキ姫」

「ええ、私たちはワタルを信じてアイレスのところへ行くわよ、よろしくね皆」

 ワタルの時と同じように竜たちが鳴いた。



 バザンたちを足止めしたワタルは再度カーの背中に飛び乗った。


 ワタルはフブキの話を聞いたその時から予感していた、バザンの群れが行く手を阻む可能性を。

 理由は簡単だ。スカイが引き連れてきた魔獣の中にバザンがいなかったからだ。


 バザンは城外にいて、城外でスカイのために使役している。そうなると城外からスカイの企みを止めようと接近するワタルたちを止めようとするのは必然だ。


 そして、一瞬の攻防でワタルはあるもうひとつあることに気が付いた。

「なあ、聞きたいんだけどよ、お前はスカイの『飴と鞭』とかいう魔法に掛かってるのか? ……掛かってないよな? お前は」

 ワタルは一番大きなバザンに向けてそう言った。


 バザンはワタルの問いを無視して、突っ込んできた。それを間一髪のところでカーが羽ばたき躱す。

 バザンは躱すのを読んでいたのか、すかさず口から火を吐いた。それをワタルは上に飛び、カーは下に羽ばたき、両者そのままバザンの後ろへと回り込み合流する。


「聞く耳持たずか、しゃあないやるか」

 ワタルは背中の折れた大剣を抜く。ワタルが構えると折れた先から黒く光る刃が形成されていき、立派な大剣へと変化した。そして、剣だけでなくワタルまでもが黒く光り始めた。


 異様な光景に面食らうバザンたちのことなど気に留めることなく、ワタルは跳びあがり、バザンたちに襲い掛かる。


 カーの飛び方は竜の中でも独特だ。一度の羽ばたきで直線的に何メートルも進む、直高速で。また一度の羽ばたきで急角度の進路変更が可能である。その姿は見えない鏡に反射しながら移動する黒い光のようである。


 4羽のバザンの間を二つの黒い閃光が駆け巡る。通り過ぎたかと思えば戻っててきてまたバザンたちに襲い掛かる、二度三度と。


 一つの黒い閃光が大きく上に舞い上がると、カーも攻撃をやめ、その場に空中停止した。その上に、ワタルが着地した。


「もう十分だろ」

 ほんの数秒の間にバザンたちには無数の傷ができ、ボロボロであった。


「死ぬほどの傷じゃない、お前らなら少し休めば問題ない。だから引け」

 ワタルの言葉に同意したわけではないだろうが、1羽のバザンがゆっくりと地上へ降りていく、飛ぶほどの気力がなくなったのだ。


 そしてもう1羽、また1羽と地上へ降り、残りは大きな1羽だけとなった。

 残った1羽もボロボロであったが決して飛ぶのをやめようとしなかった。


「お前……カー、行くぞ」

 ワタルの合図と同時にワタルとカーが再び黒い閃光と化す。大きなバザンは翼を広げ迎撃態勢をとった。しかし、二つの黒い閃光はバザンに攻撃せず、ただその横をすり抜けた。

 すり抜けた先でカーとワタルが合流する。


「来いよ! 今のスカイにも、お前が守るほどの価値がるか自分で確かめな!」

 ワタルたちはそのまま加速し城に向けて飛んでいった。

 バザンは地上に降りた3羽を一度見てから、ボロボロの体でワタルたちを追いかけ始めた。


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