13.竜の谷
ノルーテ大陸で最も高い場所は竜の谷である、そのことはドラゴスール王国の文献にもそうはっきり書かれている。
しかし、その文献にもかの木の事は記されていない。
「す、すごい……」
竜の谷の上空まで舞い上がったフブキは自然と呟いた。
フブキを感嘆させたのは竜の谷に生える唯一の木、ドラゴスール王国はおろか、他のどの国の文献にも記されていない、非公式のノルーテ大陸最大の木である。
この木を唯一観測し文書に残すことができた著者はこの木をこう記した、『竜の住処』と。
竜の住処と名付けられたその木はあまりに高く、そのてっぺんは雲の上にあった。
目を凝らせば枝葉の陰に竜が何頭かいるのが見えた。
「凄いだろ?」
ワタルが得意げに笑った。
「あの木の下にサウ爺がいる。なんでサウ爺がフブキと話したいかはわからないけど行こう」
「さっきから言ってるけど、そのサウ爺って誰なの?」
「サウ爺……一言で言えば竜の谷の長老かな」
「長老……こんなところに人が住んでるの?」
「いや、ここには俺以外の人間が住んだことはないよ」
「じゃあ、その長老って一体何なのよ?」
「何って……竜に決まってるだろ。ここは竜の谷なんだから」
フブキは眉をしかめた。
「あんた、さっきそのサウ爺とやらが私と話したがってるって言ったわよね?」
「言ったけど」
「悪いけど、私はあんたと違って竜と喋ることなんてできないんだけど」
「ああ、そこは心配しなくていいよ。サウ爺は人の言葉喋れるから」
「喋れるって……じゃあ、もしかしてそのサウ爺っていう竜が竜神様なの?」
「竜神様? それは知らないけどとりあえず行けばわかるんじゃない? というわけで、よろしく」
ワタルは黒龍の首をポンっと叩いた。黒竜はクーと返事するようにひと声鳴くと、木の麓目掛けて一気に急降下した。
「だから、なんでそんな高速で飛ぶのよ!! いやあああぁぁぁぁぁ」
フブキは絶叫と共に目を瞑る。その間、内臓が持ち上がるあの特有の感覚を味わった。その感覚が消え数秒後目を開けると、大木の前に着陸していた。
「着いたぞ、早く降りろよ」
既に竜の背中から降りていたワタルがフブキに手を差し伸べた。少し迷ってからフブキはワタルの手を握り、竜から飛び降りた。
「あ、ありがとう」
「ん? おう」
ワタルの不遜な態度にすかさずフブキは握っていた手を放り投げた。
怒りを鎮めるように深呼吸してから正面を見たフブキは目の前にある木の巨大さに気が付き、思わず息を止めた。
先ほどは上空から見たから木だと認識できたが、地上から見たら全く違った。目の前にあるのは根の下にできた洞窟と窓のない塔に見える幹であった。見上げれば自分が知るものよりもはるかに大きいが、なんとか枝葉と認識できるものがあるのでこの巨大な物体が本当に木なのだと理解できる。
「こっちこっち」
ワタルが手招きするのでフブキは素直にその後に続いた。ワタルは迷いもなく巨木の下にできた洞穴へと入っていった。不安に駆られながらもフブキも洞穴へと足を踏み入れた。
洞窟の入り口は高さ約2メートル、幅3メートルほどであったが、奥に進むにつれてどんどん大きく、広くなっていた。入ってすぐに陽の光は届かなくなったが、両壁には一定の距離ごとにランプが掛けられているため暗くはなかったが、フブキの不安を消せるほどではなかった。
100メートルほど進んだところでフブキはワタルの服の端を掴んだ。
「ま、まだなの」
「あと少しかな」
ワタルはいつもと変わらぬ調子で答えた。
フブキはなにか文句を言おうとも思ったが、グッと堪え、ただワタルの服をより強くグッと握った。
そこから50メートルほど進んだあたりから壁に掛けられていたランプが消えた。つまりは灯りが消え真っ暗であった。
「なんでこの辺ランプないのよ」
「もうサウ爺の寝床に入ってるからだよ、サウ爺」
「来たかワタル、そしてもう一人の姫よ」
正面やや上方から声がした。その声が聞こえた気がする場所をフブキはじっと見た。次の瞬間、ボッと火が吹き上がった。
「きゃっ」
フブキは驚き尻もちを着いた。
「おお、驚かせてしまったようじゃな北の姫、これはすまない」
フブキは驚きのあまり言葉を失った。
さっき吹き上がった火が天井の円形に並べられたランプに灯り、全容を露わにした。
いつの間にか通路は終わり巨大な部屋にいた。そして、その巨大な部屋にふさわしい、巨大な竜がフブキを見下ろしていた。
フブキは知識として竜に小型、中型、大型が存在することを知っていた。しかし、竜を実際に見るのは今日が初めてであった。自身を助けてくれた竜が小型、竜の谷に来た時に見えたいくつかの竜が中型、そこから大型をフブキは想像していたが、目の前の竜の大きさはその想像の3倍はあった。
「大型の竜よね? ……大型ってこんなに大きいの?」
「サウ爺は特別さ。あとで普通の大型にも会わせてやるよ。それでサウ爺話ってなんだよ」
「話? 話、そうだな」
巨大な竜は一度目を閉じ、ふうっとため息を吐くとサウ爺の白く長く蓄えられた髭が大きくなびいた。そして、カッと目を見開く。
「ワタル!! お前ここで何をしている!?」
「えっ? いや何をって? ……帰省?」
「なぜアイレス姫の傍におらぬ!?」
「いや、それは、その……国王が……」
ワタルは口ごもった。巨大な竜は鼻で息をふーっと吐き出した。
「国王に追い出されおめおめ帰ってきたということか。よいかワタル、今アイレス姫に危機が訪れている」
「危機? アイレスに? どんな?」
「そこまではわからぬ。ただ不吉な星が見える」
「どういうこと?」
フブキは小声でワタルに聞いた。
「サウ爺は千里眼と千里耳とでも名付けようかな、ここからでもかなり遠くの場所でも見聞きできるんだ。流石にドラゴスールの城までとかは無理だけど。その力の延長みたいなもんで、ぼんやりと聞いた話や見たことからなんとなーく未来を予測できる、というかしてるんだ」
「なんかぼんやりした能力ね」
「まあ、いろんな情報が入るから予測ができるって話。ただサウ爺もいちいち全ての物を意識的に見たり聞いたりしているわけじゃないからこんなふわふわした予想になるんだよ」
「な、なるほど」
あまり納得していないがフブキはとりあえずそう言った。
「もうよいかな? 北の姫よ」
「は、はい」
「さっきからその北の姫ってなんだよ?」
「ワタル、お主知らずに連れてきたのか。この方はドラゴノルテ王国の姫様だ」
「ドラゴノルテって……アイレスの両親を殺した国じゃねえか」
ワタルの静かな怒りがフブキにも伝わった。フブキはそれがとても悔しかった。
アイレスの父と母、つまりは先代国王クローセとその妻ラベーヌはドラゴノルテ王国で行われたドラゴノルテ王国との定例会食の帰路、命を失った。
正確には大陸最大の湖『竜の涙』を使い帆船で自国へ戻ろうとしているときに船が沈み帰らぬ人となった。この時命を落としたのは二人だけではなく、二人の将軍と50の兵も帰らぬ人となった。
沈んだ原因は今も不明だが、沈んだとされる場所がドラゴノルテ王国出航直後だったためドラゴノルテ王国から攻撃されたのではないかと推察するものが多かった。
直後に国王代理となったカミゼーロも同様のことを考え非難した。このことがドラゴノルテ王国、国王の逆鱗に触れ両国は同盟を解消、現在に至る。
結局事実はいまだに解明されていないが、国王代理であるカミゼーロがドラゴノルテ王国が先代国王たちを殺したと公言しているためドラゴスール王国内ではその認識が当たり前となっている。
そしてワタルもそう考えているとうことがフブキはわかった。
「それは誤解よ。私たちは何もしていない、するわけがない」
「どうだか」
ワタルは素っ気なく言う。
「アイレスから何も聞いてないの?」
「……聞けるかよ」
「……私のことも?」
「お前のこと? ……何も聞いてないけど」
フブキはふーっとため息を吐いた。
「いいわ、改めて自己紹介するわ。私はドラゴノルテ王国の姫フブキ、ドラゴスール王国姫の親友よ」
「親友って」
ワタルは鼻で笑った。
「そしてあなたはドラゴスール王国の竜使いワタル。アイレスのお気に入りの男の子ワタル。アイレスが儀式を行うために竜の谷に向かってる途中にヒトクイオオワシに襲われてたところを助けた少年ワタル。そしてその時あなたと一緒にアイレスを助けた銀色の竜ソニンが今ではアイレスの護衛竜。間違いないわね?」
「ああ、そうだけど……」
ワタルはハッとする。どうやらおかしな点に気が付いたようだ。
ドラゴノルテ王国との同盟関係はワタルが入城した時には既に解消されていた。それなのに、フブキはアイレスを襲った魔獣の種類や護衛竜の名前と詳細を知りすぎていた。
「もしかして、国同士の同盟は解消されててもアイレスとフブキは繋がっていたのか?」
「言ってるじゃない、私はアイレスの親友だ、って。国同士の同盟が解消されても私とアイレスの交流は続いたわ、文通って形でね。あっ、これ他の奴らには内緒よ。問題になるかもしれないから。わかったらそんな目を二度と私に向けないで」
「……悪かったよ、フブキ」
フブキはにんまりと笑う。
「わかったならよろしい。 ……ってこんなことしてる場合じゃない。あなたが竜神様ですよね」
「ふむ、如何にも」
「私、ドラゴノルテ王国の姫フブキです。本日は儀式を執り行いたく参りました。そうか儀式をお願いします」
「うむ、わしもあなたが来るのを待っていた。すぐに儀式を始めよう」
話が進む中、ワタルはひとり眉をしかめた。
「儀式? どういうことだ?」
「3年前にアイレスの儀式見たんじゃないの?」
「いや、見たけどなんでフブキまで?」
竜神様がゆっくりと起き上がった。
「この儀式はドラゴスール、ドラゴノルテの両国と行っているのだよ」
「へー、そうだったのか。……それでこの儀式はなんのために行うんだ?」
「それはもちろん…………国王になるための儀式としか聞かされてない」
「なんだよ」
「仕方ないでしょ聞く前に…………聞く前にお父様は逝ってしまったのだから」
フブキは悲しそうに笑った。
「逝ってしまった? フブキの父さんも……」
フブキは何も言わず、ただコクリと頷いた。
「なにが起きたんだ?」
「待てワタル、話は後、儀式が先だ。北の姫、儀式の手順はわかるな?」
「はい」
「では」
竜神様は爪を立て、地面に刺した。その瞬間地面が青白く光り魔法陣が描かれた。
「北の姫よ、血を示せ」
フブキは懐からナイフを取り出すと、左手の小指の先を切り魔法陣に血を垂らした。その瞬間、魔法陣が赤く光ったと思えばすぐに消えた。
「ふむ、確かに。では」
フブキは竜神様に背を向け自身のドレスに手をかけたところで、動きを止めワタルを見た。
「ちょっと」
「ん? 何?」
「何じゃないわよ。アイレスの儀式にも立ち会ったんじゃないの?」
「立ち会ったけど……あっ」
どうやらワタルはこのあと儀式を受ける姫がどのような格好になるか思いだしたようであった。
ワタルは何も言わず端により壁の方を見た。
「絶対こっち見ないでよ」
「見ねえよ」
それでもフブキは本当にワタルが覗こうとしないか数秒間確認し、それから、服を脱いだ。
「では」
竜神様はフブキの白肌の背中に爪で優しく触れた。フブキの背中に青白く光る魔法陣が現れた。
竜神様は自身の腹に爪を立て小さな切り傷を入れた。そして、爪に付いた血をフブキの背中に一滴たらした。
魔法陣は一瞬赤く光りすぐに消えた。
「これで儀式は終わりじゃ」
「ありがとうございました」
「終わったか?」
そう言い、ワタルは振り向いた。そして、しまったという顔をした。
振り向いた先にはまだパンツ一枚のフブキがいた。
「あっ、いや……ごめん」
「バ、バカ!!」
フブキのビンタが炸裂した。
1分後。
「本当に信じられない!! 普通わかるでしょ、終わった直後じゃまだダメってことくらい」
「悪かったよ、光も消えたし、ありがとうございますとかいうからてっきり」
「てっきりじゃないわよ、本当最悪」
「だからごめんって」
必死に謝るワタルであったがフブキは聞く耳を持たなかった。
「成長しとらんのう、ワタル」
「成長? あんた、まさかアイレスの時も……」
「いや、その、あははは」
ワタルは笑って誤魔化すしかなかった。迷いもなくフブキはワタルの脛を蹴った。
「痛っ、やめろって……ん? ちょっと待って、儀式って確か13歳に行うもんだよな? じゃあフブキって……」
「あんた今どこ見た」
胸である。勿論ワタルは口にしないが絶対に胸である。
「13歳で行うのはドラゴスールの風習。うちは16歳で行うのが通例なのよ」
「ああ、16歳か道理で」
そう言ってワタルは下げかけた視線を慌てて上に戻した。
「道理で? あんた、また今どこ見ようとした? ……まあ、いいわ。私はまだ15歳よ。さっき言ったけど、お父様が亡くなったの、それで急遽16歳の誕生日を迎えてないけどにここに来たのよ。本当ならここに来る前にこの儀式の意味も聞けたんだけど……」
「そっか……サウ爺、それでこの儀式どういう意味があるんだ?」
「うむ、北の姫、いやフブキ姫よ。この儀式の意味について話そう」
「俺が聞いたのに……」
「儀式の意味は大きく二つ。一つ目は我々竜の谷の竜たちはドラゴ王国から受けた恩義を今も忘れていないということじゃ」
「ドラゴ王国?」
「そうじゃ、かつてはドラゴノルテ、ドラゴスールは一つの国であった。しかし理由あって、いや我々のせいで二つに分かれてしまったのだ」
「そんなの私も初めて知った」
フブキは驚いた。
「なんで2つに分かれたんだ?」
「そのことについて話せば長くなるから、またにしよう。なにせさっきも言ったが今アイレス姫に危機が迫っているのだから」
ワタルは不満であったがアイレスの危機と言われれば引き下がるしかなかった。
「一つ目は要するに旧ドラゴ王国の両国に我々竜の谷の竜は危害を加えないのはもちろん、協力を惜しまないということじゃ」
「協力って……今のドラゴスール王国みたいに竜たちが常駐してくれるってことですか?」
竜神様は少し目を逸らした。
「いや、あれは特殊じゃ。アイレス姫がワタルを望んだから許可したのじゃが……あいつらがワタルについていくと聞かなくてな」
「の、望んだ」
アイレスの行動力にフブキは驚いた。
「結果的に片方の国に加担することとなってしまった、申し訳ない。しかし、其方たちの知らぬところで竜たちが両国のために動いているのは間違いない」
「はあ」
フブキはあまりピンと来ていない様子であった。
「要するにあれだろ? ヴィーゴ村の作物が豊作だったり、迫って来てる台風が弱くなったりするのは竜たちのお陰ってことだろ」
「そういうことじゃ」
「ヴィーゴ村って確かドラゴスール側の竜の谷に最も近い村だっけ」
「そうそう、さすが姫様よその国の事なのに博識だな」
「ふふん、まあね」
フブキは少し得意げだった。
「でも意味が分かったわ。うちでも竜の谷に近い村はいつも豊作だわ」
「わかりやすいのがそれというだけであって、他にも色々なところで竜の力は及んでるはずじゃ」
「はい、ありがとうございます」
フブキは嬉しそうに頭を下げた。その姿を見てワタルもなぜか嬉しそうであった。
「さて二つ目じゃが、こっちは非常にわかりやすい。フブキ姫、あなたに先ほど竜の力を分け与えた」
「竜の力?」
「あー、やっぱりか」
驚くフブキとは対照的にワタルはあっけらかんと言った。
「やっぱりてどういうことよ?」
「いやー、明らかに儀式の前とあとでフブキの魔力が違うじゃん」
フブキは自身の体をじろじろと見た。
「いや、わからない」
「いやいや、どう見ても竜魔が混ざってるじゃん?」
「竜魔?」
「竜が持つ魔力の事じゃ。人間が持つ魔力とは少し異なる」
「はあ」
フブキは曖昧に返事するしかなかった。
「フブキ姫、あなたならすぐに竜魔も感じれるようになるはずじゃ、安心しなされ」
「は、はい! ありがとうございます」
フブキは嬉しそうであった。
「なんでわからんのかね」
直後にイラっとした。
「フブキ姫、そのアホは放っておいて続きを聞いてくだされ」
「はい!」
とても良い返事だった。
「あなたに与えた竜の力、それを更に分け与えることができる」
「そんなんことが!」
「その方法はこの度の儀式と似ている。竜光石という宝石をご存じか?」
竜光石。竜の牙や爪、骨が化石化したものである。色が個体ごとに違い、ルビー、サファイアなど多くの宝石と似ているため外見だけで判別するのは難しい。簡単な判別方法は魔法攻撃をしかけても無傷かどうかであるが、この判定方法を用いた場合竜光石以外の宝石は粉々になってしまう。
「はい知っています」
「うむ。あの石に力を分け与えたいと思う相手の血を垂らす、その後にあなたの血を垂らし、石にあなたの竜魔を込める。そして、その意思を相手が身につければ完了じゃ」
「「あっ」」
ワタルとフブキが同時に言う。
「ふむ、思い当たることがあるのじゃな」
「ゲルニカたちに将軍になった時に貰ったって腕輪とかネックレスとか、ピアスとか自慢げに見せてもらった気がする」
「ドラゴノルテでも賢者昇進の祝いに装飾品を渡す風習があるわ」
「賢者?」
「そっちで言う将軍よ。こっちは外なる魔法が主流だからそういう称号になったのよ」
「外なる魔法?」
フブキは唖然とした。
アイレスから聞いている限りかなりの強者のはずのワタルが魔法の基礎と言える用語を知らなかったのだから当然と言えば当然であった。
「すまぬ、ワタルには外なる魔法、内なる魔法の概念がない」
「いえ、大丈夫です」
呆れるフブキをよそにワタルは首を傾げていた。
「話を戻すが、フブキ姫力の分け与え方は理解できたかな?」
「はい……いえ、その竜魔というのがよくわからなくて」
「大丈夫じゃ、じきに感じ取れるようになる」
「は、はい」
フブキは不安そうであった。
「大丈夫大丈夫、そのうちわかるようになるって」
そう笑うワタルを見てフブキは最初嫌そうな顔をしたが、やがて笑った。
「あんたがそう言うなら信じるわ……ねえ、アイレスはどうだったの? すぐ、その竜魔を感じ取れたの?」
「アイレス? …………知らん」
「聞いた私がバカだったわ」
フブキはため息を吐いた。
「さてフブキ姫、今度はあなたの話を聞かせてもらえぬか? ドラゴノルテの国王の命の灯が消えたのはここにいてもわかった。ドラゴノルテで何が起きたのじゃ」
「……反乱です」
「反乱って……言っちゃ悪いがそれで国王が討たれてるなら、もうドラゴノルテ王国は……」
ワタルは言い淀んだ。
「心配しなくて大丈夫よ。ドラゴノルテ王国は無事、今は反乱も完全に鎮火、体制を立て直している段階よ。それに私の言い方が悪かったわね、反乱と言っても今回の反乱はかなり特殊」
「特殊?」
ワタルは眉をしかめた。
「悪魔が潜んでたのよ」
「悪魔?」
フブキはコクリと頷く。
「反乱を起こしたのはたった一人の男。その男の名はスカイ・ハイヤー、我が国の魔獣テイマーだった男よ」
「スカイだって……?」
ワタルの反応からフブキは確信した。フブキの嫌な予感が的中しているということを。
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