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本当の寿司を食べたいアメリカ人【1000文字未満】

作者: 平之和移


ある所に寿司が大好きなアメリカ人がいた。いつものように寿司屋へ行き、アボカド寿司を口にする。


そこへ、怪しげな東洋人がやって来た。


「旦那、これは本当の寿司ではないですぜ。本当の寿司を食べたいなら、日本人がやっている寿司屋に行かないと」


これを真に受けたアメリカ人は、車で大移動。都会に出て寿司屋に赴いた。


これは、と思った寿司を頼む。カルフォルニアロールと言うらしい。これがおいしかった。


そこへ、怪しげなアジア人がやってきた。


「旦那、これは本当の寿司ではないですぜ。本当の寿司を食べたいなら、日本に行かねぇと」


これも真に受けたアメリカ人は日本へ飛び立った。千葉に降り立ち、近くの寿司屋に駆け込んだ。


おいしそうだと、目の前を流れる皿を取る。ここは回転寿司だった。口に含むと、旨い。あっさりとした肉汁が広がる。ステーキ寿司だ。


そこへ、怪しげな日本人がやってきた。


「旦那、これは本当の寿司ではないですぜ。本当の寿司を食べたいなら、東京に行かねぇと」


また真に受けたアメリカ人は、満員電車で移動。東京に着く。さてさてと探し回り、何とも古風な寿司屋を見つける。


入ると高級な空気が肺に来る。むしろ心が躍ると着席。なんとここでは注文しないらしい。店主が勝手に握る。本当の寿司でなかったらどうしよう。


しかし出された寿司は舌を唸らせた。これほど旨い寿司は食べたことがない。もっと金を出せる。


そこへ、怪しげな武士がやってきた。


「旦那、これは本当の寿司ではないですぜ。本当の寿司を食べたいなら、江戸に行かねぇと」


またもや真に受けたアメリカ人は、アメリカに戻る。車を改造してできたタイムマシンを強奪し過去へ。そして太平洋を横断、日ノ本についた。


横須賀から江戸までやってきた。ちょんまげ達を掻い潜り、寿司屋を発見。暖簾を潜ると元気な声。


頼んだ寿司はデカかった。特にシャリがデカい。腹に入れる。庶民的で落ち着く味だ。


そこへ、怪しげな鳥帽子の男がやってきた。


「旦那、これは本当の寿司ではないですぜ。本当の寿司を食べたいなら、唐に行かないと」


これでさえ真に受けたアメリカ人は、もっと過去に行った。今もどこかに居る。


彼が食べた寿司は、どれも寿司に変わりない。

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