表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界 完全遭難のネリナル ~生命錬成サバイバル~ 白の章 素材から、生命を生み出し、大自然を生きよ  作者: chickenσ(チキンシグマ)
第二章 遭難生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
76/230

戦力増強と言うなの、ダメ子いじり 4

「すごく、嫌なんだけど!」


「これで、次から岩沢に助けて貰えるから!」


「ものすごく、嫌なんだけど!」


「その努力は、報われるから!」


「殴ったら私、ケガするんだけど!」

 沙羅は、ダメ子の肩をたたき。

 神妙な面持ちで、一言。


「納得させないと、話がオチない」


「オチを、私で作ろうとしているあたり、鬼畜ですよね!」


「岩沢が、納得してないんだから、しょうがねぇだろうが!」


「私じゃなくても、良いでしょう!」


「なら、誰なら良いんだよ!」

 ダメ子が、ブルースカイを見れば。

 草むらの後ろで、しゃがみ込んで、震えていた。


「いないだろ!?」


「ブルースカイちゃんなら、行けるでしょうに!」

 ブルースカイは、草むらの奥から頭だけを出し。


「ウ、ウチがやると、岩沢姉さんごと、切っちゃうから…」

 生死に関わった。


「お前しか、いないじゃないか!」


「きぃい~」


「キャラ崩壊してる場合じゃ、ないんだよ?」


「ブルースカイちゃん、絶対、許さないからね!」


「ダメ子よ」


「なんですか!」


「世界一カワイイから。

 とりあえず、殴ってこい。それで、終わりだ」


「私が、終わりそうなんですけど!?」


「わかった、分かった」

「分かってないですよね?

 一ミリも、私の気持ちを、くみ取ろうと、してませんよね?」


「だから、言ってるだろ?」


「何をですか?」


「オマエが殴らないと、話がオチない」


「変わってますよね?

 前と、セリフ、変わってますよね?」


「早くやれよ~。めんどくさいなぁ~」

 沙羅は、説得するのを諦めた。


「……」


「はやくやれ~」

 下手に出るのすら、放棄した。


 ダメ子は。

 沙羅の態度に、何を言っても無駄だと、やっと理解し。


「どうせ、痛いめ見るなら、本気でやるね」


「そうしないと、本気で怪我するぞ」



 ペンソードを、一筋の光から出現させ。

 スグに、バチバチと電気を走らせる。


 一振りで、刃先を刃に変え、大きく機械翼を広げた。


「棒のほうが、イイと思うんだけどなぁ…」


 沙羅の言葉を無視し。

 周りの雑草を大きくなびかせ、剣を構えるダメ子。

 この姿だけは、本当にカッコ良い。


 ダメ子を、ダメ子だと、一瞬、忘れさせる、カッコ良さだ。


 ダメ子は深く息を吐き。


 表情から、感情が消え。

 一息で、踏み出した。


 一瞬で最大加速まで持っていく、この加速力が。


 ダメ子の攻撃力を、後押し、しているのだろう。


 動く先が、分かっていなければ、目で追えない早さ。


 一瞬、残像が見えているのではないかと、錯覚させる、爆発的な加速力。

 視界から、ダメ子が消え。


 ゴ~ンと。

 擬音が、そのまま森の中に響き。


 岩沢の前で、ぴょんぴょん跳ねる、ダメ子見えた。


「いったぁああああいいぃいいい!!」



 そこで、皆。

 ああ、ダメ子だ。

 と、ホッとするのは、なぜだろう。


 へし折れたペンソードが地面に転がり。

 ぴょんぴょん跳ねるダメ子を、岩沢が、首を傾げながら見る。


「岩沢! 痛くないだろ! 」


「うん! いたくない! 」


「ダメ子! 痛いだろ!」


「そう、見えないんですか!」


「よし、岩沢!」


「よし、じゃないでしょ!

 沙羅様! よし、じゃ、ないでしょ!?」


「よし、岩沢! それを着てると、痛い思いしなくて、済むからな。

 これから、戦う時は、その姿で戦うんだぞ~」

 沙羅は、ダメ子の苦しみを無視した。


「わかった~」

 見た目からは、想像できない、カワイイ声を聞くと。

 複雑な気持ちになるのは、なぜだろう。


 見た目と、声のギャップが、ありすぎる。

 岩沢なんだなぁ、と、思えば。


 目に見えているモノを、疑いたくなるが、間違いなく岩沢である。

 扱い方だとか、なんだとか。

 問題を挙げれば、キリがない。


「…次から、次へと、コイツらは」



 ため息一つ吐き出し。

 沙羅は、この場の空気で。

 全てを、忘れることにした。


「ダメ子! お前が、苦しんだかい、あったぞ!」


「なかったら、沙羅様にキスしてるもん!」


「……」


「え? え? なんで黙るんですか?」


沙羅は、これ以上ないくらい、オーバーリアクションを見せ。


「マジで、よかったぁぁああ~」


「……」


「岩沢、お前は、サイコーだぁああ!」


「……」

 ダメ子を黙らせた。


「え? なんで?

 ソコまで嫌わなくたって、イイじゃないですか…」


「お前の唾液、バッチイ。いらね」


「私、怒ってイイよねぇ?

 そろそろ、怒ってイイよねぇ? 沙羅様!」


「なんで、俺が、怒られなきゃ、ならないんだ?」


 …また始まった。

 ジュライ子の思いは、誰にも伝わらず。


「スレイに傷がついたら、どうする気だぁ!?」


「沙羅様が、肩車してるのが、悪いんでしょ!」


「パパと、ダメ子ちゃん。仲良しだねぇ~」


「ん、違うよスレイ。

 お父さんは、駄目な子に。

 ちゃんと、言ってやる義務があるんだ」


「パパだから?」

「そうだよ、スレイ。あの人の名前は、なにかな?」


「ダメ子ちゃん」

「そうだ、イイ子だねぇ~」


「スレイちゃんに、なんてこと、教えてるんですか!」


「早く、先頭、歩けやぁ~」

 ジュライ子は、ため息を吐き出し。

 面食らっている、ブルースカイの肩をたたく。


「ジュライ子ちゃん、コレ…」

「ブルースカイちゃん。

 気にしなくて、イイからね。

 コレは、あの二人の、スキンシップ方法みたいだから」


「コレが?」

 沙羅とダメ子は、お互いを、お互いに、罵倒し合い。



 落とし所のない、口ケンカを続ける姿を。

 わざわざ、指さすあたりが、ブルースカイだろう。


「そうよ、ブルースカイちゃん。

 息をするように、口喧嘩しないと、気が、すまないみたい」


「ずいぶんと、無駄にエネルギー使いますねぇ~」

「私も、そう思う」

 それでも、沙羅一行は、横穴へと進む。


 口ケンカは、続いたまま。

 最前列と、最後尾で、無駄なやりとりが続き。


 いつまでも続く、不毛な言い合いに、前後に挟まれた皆は、笑うしかなく。

 笑われたことで、さらに加熱する言い合いは。


 二人は、仲が良いのだと、思わせる。

 空気が、ピリッとしない。

 周りが笑って、見ていられるケンカ。


 本人達は。

 必死に、あの手、この手で、相手を言い負かそうとするが。

 お互いに、さといのだ。


 だから、負けそうになると、話の切り口を変えていき。


 まるで、コントのような。


 台本が、あるかのような。


 周りを笑わせる、夫婦漫才にしか聞こえない。


 なんのルールがあるのか、分からない。


 言い返せない方の負けだと言う。

 絶対的なルールが、あるように感じられ。


 それは、罵倒は、罵倒で返し。

 罵倒で返せないなら、切り口を変えるという、モノだと分かれば。


 沙羅と、ダメ子の言い合いは。

 汚い言葉なのに、どこか心地よい、ラジオのようだ。


 スレイは、沙羅の肩の上で笑い。


 ジュライ子は、あきれ。


 岩沢は、どうにかして話に入ろうとし。


 テンポの速さ。

 話題の切り替えの早さに、ついて行けず。



 ブルースカイは、ジュライ子が言った意味を噛みしめる。


「テメェ! その機械翼は飾りなのか、コノヤロウ!」

「見えないんですか?

 ちゃんと、背中から、はえてますよ?」


「なにを、すっとぼけてやがる」


「ダメですねぇ、沙羅様はぁ~。

 現実が見えていないご様子、お教えしますよ?」


「オマエが本物の、他力本願だって事か?」


「沙羅様も、人のこと、いえませんよねぇ~?」

 こんな会話は、犬も食わない。


 笑うしかないだろう。


 馬鹿にしているように聞こえても。

 どこか、相手を気遣っている、口ケンカ。



 相手を多少なりとも、気遣っていれば。

 ケンカは、ケンカのまま。

 二人の中のルールに沿って、続けられ。


 勝敗は、スポーツのように、決められていくのだろう。


 歩く、この集団が静かになるときは、そう。

 竜騎士が、現れたときぐらいだ。


 なら。

 本気で疲れるまで、無駄な体力を使い続けるのだろう。


 彼女たち、沙羅達。

 言い方は、いろいろ、あるのだろう。


 それでも、この集団が、終わらないのは。

 こんな奴らだからだ。


 歩き続けるという、現実を忘れさせるのは。

 やはり、こんな奴らだから、なのだろう。


 日は昇り。

 優しい風は吹く。


 それでも、この二人は、口を止めない。


 そんな、風景が。


 スレイの、満面の笑みが。


 全てを、伝えてくれている、のかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ