流日傾 流れる茶会で 3
人間として、生活することに、なんの不安もないのなら。
子供を作ることに、金銭的な規制が、なくなる。
口減らしのような、ツライ現実など、この大陸のドコにもないのだ。
人という動物して、生きることを許されるのだ。
つまらない御託を並べ。
子供を作らない理由を、正当化する必要がない。
「誰もが、結婚をヨシとして。
多少の不遇も、目を、つぶっている結果でしょう」
違う、そうではない。
結婚しても、収入は一緒でも。
生活費が、純粋に、二倍にならずに、すむからだ。
一つの家に、十人、住んでいるからと言って。
生活費が、単純に、十倍になるわけではない。
同じ屋根の下で、複数人で暮らしたほうが。
金銭だけで見れば、これ以上ない節約に、なるのだ。
同じ屋根の下にいるのは、血を分けた姉妹、両親のみ。
ルームシェアとは、本質的に全く違う、別物だ。
彼氏彼女も、喜んで、すぐに同性を始めたくなる手軽さ。
外に出て、自分の家庭を持っても。
毎日の生活資金に、迷いがないなら。
夫婦生活において、金銭的不安など、ドコにもアリはしない。
国民一人一人、生活費を貰えるのなら。
赤ん坊も、国民の一人なのだから。
いくら子供を作ろうと、豊かになるだけで。
貧しくなることなど、ありえない。
豊かになる方法は、簡単で、単純なのだ。
早く結婚し。
ただ、円満で、子だくさんな家庭を、作り上げるだけで良い。
それだけで、明日に迷うことなど、ない。
それでも、お金が足りないと思えば。
モノが足りないと、思うなら。
欲しいだけ、働けば良いだけの話だ。
沙羅の頭に、このギルドの掲示板が、頭に浮かび。
深い納得を生んだ。
お金を稼ぐ「だけ」の。
定職を、必要としていないのだ。
なぜなら、仮に、稼げなくても、手に入らないだけで。
生活が壊れることはない。
仕事は、したいから、するのであり。
根本的に、生活を支えるのためにするモノでは。
なくなっているのだから。
仕事という概念が、根本的に違うのだ。
他者に対して、何かをすること、認められて、初めて金を生む。
ただ、それだけになる。
こうなってしまえば。
それ以外の思いや、考えは、もう、通用しない。
実際に、苦汁をなめるのは、くだらない経営者なのだろう。
生活を握り。
給料という首輪をつけ。
紐で引っ張ると、あっさりと切れてしまうのだから。
日本で言うこところの、中小会社のあり方が変わり。
健全な経済活動という点でだけ言えば。
かなりの改善が見込める。
会社という国の内政すら、労働者の評価対象になってしまうからだ。
結果として。
給料も、物価も、適正にあがり。
たくさんいる労働者にとって、良い方向に転がるだろう。
本当の、膿み出しと言っても、良い。
そして、国としては、一括統治しているのだから。
足りないモノは。
最悪、買って持ってきてしまえば。
だいたいの問題が解決してしまう。
通貨が、大陸ごとに違ったとしても。
金属の価値は、ドコでも変わらないのだから。
「ですが、コレは。
個人の絶対評価を浮き彫りにしました」
金が欲しくて、皆、働く。
欲しがっている理由は、生活するため。
欲しいモノがあるから。
生活を人質に取られているから。
欲しいモノを、質に入れられてしまっているから。
意見を平気で変えるしかない。
だが、生活を人質に取られなくなれば。
失敗しても、倒れても、いまよりは、かなりマシになる。
努力アピールだけの行動に。
なんの意味も、なくなると言うことだ。
個人は、個人のデキることをしているからこそ、結果が残る。
結果なくして、その人の評価無し。
評価の概念が、まっとうになり。
自己評価など、何の意味も持たない。
周りが認めた結果が。
個人の価値になっても、不思議ではない。
だから、より濃く、浮かび上がるのだ。
生粋の絶対評価が。
「せめられるわけでは、ありません。
ですが、ごまかしなく、身の程を、嫌というほど見せつけます。
明確に、自分で生き方を選ぶ人のほうが少ない。
両親が、友人が、近くにあったから。
ただ、それだけなのです。
彼らから、働かなければ死んでしまうと言う、絶対的な怖さが消えた。
生活に追われ、考える余裕を奪わなくなくなった。
一見、良いように思えますが。
生き方を、自分の力だけで、選び取れるモノなど、わずかだ。
やりたいことを、生活と別に持てるモノは、特殊でしょう。
なにもかも、本当の意味で、個人に選択権を渡しても。
多くの人は、選択権の責任を、半分以上、何かに、誰かに任せています」
だからこそ、現代社会で、静かに死んでいるスペシャリストが。
頭を出すことが、デキるだろう。
だからこそ、駅のホームで寝ている人たちは。
どこかの屋根の下で。
クーラーの効いた、快適な生活を手に入れるだろう。
だからこそ、犯罪歴に苦しみ、刑務所に戻りたがる人々は。
あんなところに戻ってまで、生きる必要がないと、思えるだろう。
皆が、ツバを吐くように。
ないがしろに見下し、目に映らないようにしてきた人々は。
生活を得るだろう。
結果として、町中に余裕が生まれ。
キレイになっていくだろう。
余裕ができれば、もっと良いモノが食べたい。
もっと、良いモノが欲しい、車が欲しい、エトセトラ。
元来、欲とは余裕の中で育まれるモノだ。
欲しいから、仕事をするだろう。
全く知らない、他人の評価が、価値になるのなら。
その仕事が、なんであれ。
誰かのためになるモノなら。
仕事に、汚いも、上下も、格も品もない。
残るのは、肩書きの上下だけだ。
法規制するべきは、善悪の絶対なる線引きだけだ。
タバコと大麻のように、引いてやるだけで良い。
そして、もっと、明確になる。
隣の芝生は青く。
それをやっかみ、口出しして。
言葉を並べて、押しつける奴らが。
露骨に浮かび上がる。
ただ、生きているだけで、結果を残していく人々が。
ただの凡人が、どれだけ多いか。
本当の天才が、どれだけ稀少か。
ただ、IQが高いだけの人物が、どれだけ無意味か。
ただ、努力するだけが、どれだけ無駄か。
ただの過去の功績に、すがりつくことが、どれだけ不毛なのか。
なぜなら、毎月、皆、生きていくからである。
今、何もできない人物に。
今月、言い訳をして。
ナニもしない人物を評価するほど、甘い制度ではない。
評価する必要が、ないのだから。
社内政治などドコにもない。
村ルールとは、別のところで、生きることになるのだから。
自分で選んだ。
ソレは果たして、どこまで、自分なのか。
地図を見て、行き先を決めたのだろうか?
皆が並ぶラーメン屋に並びたくて、並んでいるのだろうか?
右と左、どちらに進めば良いか分からず。
右には、草原が見えているのに。
左の暗闇に進むことを、果たして、誰が選ぶのだろう。
良いように見え、聞こえるソレは。
皆、感覚的に理解しているハズなのだ。
「それは、苦しいのです。
選ぶのは、命を削るほど重い、行為なのです。
本来なら、選ぶ必要なく。
平穏に暮らせれば、大多数のモノは満足します」
だから、白龍は、この統治方法を作ったのだ。
争いはなくなり、生活は保障され。
どんなモノでも。
選ばずとも。
考えずとも。
選んだという錯覚を与え、言い訳さえ用意できれば、選んだことになる。
その上で、満足させればソレで良い。
それでも、選ぶから。
「この大陸の金銭的成功者が、事実上、統治者になります。
貴族は、今は血ではなく。
能力絶対主義の、椅子取りゲームで、決められております」
絶対評価が、明確化し。
能力絶対主義の椅子取りゲームなる。
なにをやっても。
どの業界にも。
人が集まれば。
ピラミットの段数ごとの席数は、決まっている。
その席の取り合い方法は。
本当に、まっとうに、実力主義で決められていくのだ。
この統治の実力評価は、自己評価ではない。
椅子が取れないモノは。
椅子の取り方を知っているモノに、太刀打ちできるわけがない。
ただ、それだけのことだ。
他者による、他者によっての評価結果を基に、絶対評価する。
個人個人が、政治家のような環境に置かれると言うことだ。
票が取れないようなことは、悪事でしかない。




