某有名漫画の名台詞より
ここは地方の私鉄で、駅には自動改札機が無い。
通勤、通学時間帯は混雑するものの、その時間帯を外せば人はまばらだ。
でも、僕が利用する時間はぞろぞろと人が動く。
切符の種類は三通り。
一回だけの片道切符、十回利用分の料金で十一回分が綴りになった回数券、あとは半年利用の通学、通勤定期券。
駅員は改札口で、利用者が手元に用意した切符や定期券を素早く確認する。
朝と夕方、僕は改札口に大勢の人達と並ぶ。朝はホーム側に入るために、夕方はホーム側から出るために。
僕は利用者の列に並ぶ。
改札口で、僕の順番が来る。
僕はいつも改札口で支えてしまう。
どうしても定期券が見当たらない。
僕の後ろからはどんどんと利用者が押し寄せ、過ぎ去っていく。
僕など、そこにいないかのように。
誰もいなくなった改札口で一人佇み、大好きだった漫画の名台詞を思い出す。
「お前はもう、死んでいる」