王国へ
色々ありすぎて、呆然としていたが、とりあえずアジトから出た。
聖国に戻りたくないが、邪神の尖兵にもなりたくない。
ただのラノードとして宗教のない王国に行こう。
一月歩くと王国に着いた。道中、氷魔法を使って練習して
氷の盾、氷瀑、アイスウォール、アイススピア、アイスアローなどを習得した。鉄の盾はいらなくなって捨てた。もう聖騎士ではないので鎧も捨てた。鉄の剣はそのまま持っている。
門に着くと、金を払い一日限り有効の身分証を貰った。
冒険者になれば、身分が保証されるらしいので冒険者ギルドに来た。冒険者ギルドは門から大通りをまっすぐ行くと突き当りの広場に堂々と建っていた。3階建ての大きな建物だ。でかい戸を開け、入ると中は暑苦しく、大勢の人がいた。酔っ払いだらけで馬鹿騒ぎをしていたが俺が入ると一瞬ちらっと見たがすぐに元に戻った。
冒険者登録する所は空いていてすぐに受付をして貰えた。
ケモミミのクリクリとした目をした受付嬢がニコと微笑んで「冒険者登録されますか。されるのであればこちらの用紙にご記入をお願いします。」と言って、紙と鉛筆を渡してきた。
名前はラノードで特技は氷魔法と、
「おい!!おっさんその歳で冒険者かぁー!」
振り返ると四人パーティがいた。四人とも二十代くらい男で赤髪の剣士、紫髪の弓使い、大柄の剣士、小柄な剣士だ。
後ろで見ている冒険者たちもニヤニヤして酒を飲んでいる。
赤髪の剣士が「鎧も着けないで冒険者とは舐められたもんだな!いい歳こいたおっさんが夢抱いたんじゃねーよ!田舎に帰りやがれ!」と中指を立ててきた。
「冒険者は誰でもなれると聞いたが違うのか?」と聞くと
「違わなねーがよ、おまえ見たいのが来ると品位が下がるんだよ!」と青筋を立てながら答えてくれた。
後ろの酒場で飲んでいる冒険者もヒューと歓声を上げている。「そうか、だが俺は品位を落とすような事はしない」と言うと、赤髪は「痛い目に遭わねーとわかんねーのか!」と言って腰の剣に手を掛けた。
長年聖騎士だった経験がそうさせたのか、俺の体は勝手に生き残るために最善の行動をした。左手で氷瀑を打ち出し右手で剣を引き抜いた。
俺の左手で濃縮された氷の礫は赤髪に向かって打ち出された。ドスドスドスと赤髪に七本の礫突き刺さり倒れ伏した。やってしまった。
「キャアーーー!!」受付嬢が悲鳴を上げた。
冒険者たちは立ち上がり腰の剣に手を掛けたのを見て、俺の体は勝手に動いた。冒険者たち氷瀑を打ちまくり、ギルドの壁にアイスアローを打ち穴を開け脱出して壁をアイスウォールで防ぎ逃げた。