聖騎士、邪神に救われる
どうしてこうなった…
俺は致命傷を負い死にかけていた。
聖騎士の任務として、十人パーティで邪教徒どものアジトを襲い皆殺しにした。
だが奴らは最期に自爆しやがった、、
俺は長年の勘から瞬時に盾を構えたから生きているが他の奴らは肉塊になっている。
その時、神に祈った。助けて下さいと
朦朧とした意識の中、幼女の声を聞いた。
「えーっと、助けてあげよっか。」
ここは戦場だ。幼女などあるはずがない。すぐに神だと悟った。俺の日々の祈りが実を結んだのだ。
助けて下さい。
俺はここの底から祈った。
助けて下さい、助けて下さい、助けて下さい
「わかったよ、でも邪神だけどいい?」
助けて下さい、助けて下さい、え?
俺の体は漆黒の闇に覆われて致命傷も一瞬で治った。
傷は治ったが冷や汗が止まらない。
やってしまった。幼女の声は間違えなく邪神だと言っていた。
「聖騎士さんよろしくね。わたしメアリーって言うの。五億三千万四百二十九歳だよ。聖騎士さんのお名前教えて。」
脳内に幼女の声が聞こえる響く。
「俺は第三隊所属第七班班長ラノードだ。姿を現せ!」
すると時空が歪み、黒髪の絶世の幼女が飛び出して来た。
「じゃあーん。メアリーだよ。」
メアリーがウインクしてきたが邪神である以上容赦はできない。盾を構えながら突っ込み、ロングソードを振り下ろした。やったかと思うと、後ろから「ひどいよ。ちょっと落ち着いてよ〜。」
その一言で俺はピクリとも動けなくなった。
メアリーは俺の前にちょこんと座り俺を見上げた。
「えっとね、まずラノードさんは聖騎士じゃあないよ。もしラノードさんが神からの加護を受けてたらわたしは関われないもん、話しかけれないし、加護もかけれないもん。」
なんだと、俺は驚きのあまり目を見開き、涙が溢れ出した。俺の三十年間の戦いは祈りは何だったんだ。無駄だったのか。水が沸騰するように俺の心に熱い感情がふつふつと湧き上がった。
メアリーがニヤニヤと嗤う。
「いいね、わたしその感情大好き。わたしね、退屈なの。退屈すぎて面白いものを見たいの。悲劇も好きだし戦いも好きだよ。激情は特に大好物!」
メアリーは立ち上がり服の裾を払う。
「この世界を面白くしてきて!今日からラノード君は邪神の尖兵だよ!」
メアリーがウインクをしながら敬礼をした。
「すぐに死んだら詰まんないから、≪再生≫を授けてあげる手足が千切れてもすぐ生えてくるよ!あとね、≪氷魔法極≫もあげるよ!」
メアリーは手を銃の形にして俺にだぁーんだぁーんと言って撃った。
俺は力がみなぎるのを感じた。
「じゃーね!」
と言ってメアリーは時空に消えていった。