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でも

作者: カンコ

眠れない夜が続いている。月の光に、完全に目が慣れてしまっていた。暗闇の中で暗闇に戻れずにいる、眠り方を忘れてしまっている。或いはその逆で、暗闇と光の境界が無くなり永遠に眠っているのかも知れない。

私は知らなかった。自分にとって最も怖い相手とは、敵とは、自分自身だと。自分のことが好きだったのに、自分が自分だといつも確信していたのに、自分になれるのは私だけだと、私は私を認めていたのに。何か、私の輪郭の何処かが崩れ、その崩れた部分が、破片が、別の輪郭へと吸い込まれてしまっているのか。私が私という個体では無くなっている、溶けてしまい、混ざってしまっている。誰かに、私が一人で生きる事を邪魔されている。でも動かない、他のものと混ざっても上手く動けない、摩擦ばかりが大きくなり、亀裂が入り、壊れてしまう。その衝撃に、私だった部分が痛み泣いて泣いて泣いても、まだ眠れない。

でもそれが生きることだと分かっている。私が私であることと、他のものが私の一部になることが、生きている内は、酸素を吸っている内には、顔になり声になり血になるのだと。それが認められないからいつまで経っても眠れないのに、認められない理由を、暗闇は探させようとするから、私が私の一部分ですら手放せないでいるのは何故か、私は教えてくれないから。朝が近い、なんだか息が苦しい気がする、でも

生きるしか無いのか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 眠れない夜、から、生きるしかない、に至る過程が良かったです。 繊細さのある言葉選びが魅力的で、そこが、作品の深さに直結しているように感じました。
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