可能性と不可能性 2
私は古い友人に相談することにした。とは言ってももう随分会っていない友人だ。
仮にその友人をAとする。
Aは様々な土地の風習や風俗などを趣味で調べている。次の日、Aと街中のカフェで待ち合わせをし、早速妹の事故について、そして"それ"について話すことにした。
「━━━━ということなんだ。この不思議な光や妹の死体がないこと、このことについて何か似たような話を聞いたことないか?」
できるだけ細かく話した。しかし所詮はひとから聞いた話なので私も知らないことがあったのかもしれない。
Aは真剣な顔をして言った。
「その事件地元の新聞にも取り上げられてたな。そうかあれはお前の妹だったのか。なんと言えばいいのか…」
私は「問題はそこじゃない。確かに気分は沈んでいたが急に消えたんだ。死体が見つかってない。消えたんだ。だから生きてる可能性もある。」
と言った。この時私は険しい顔をしていたと思う。
Aは遠慮がちに話し始めた。
「それ、神隠しとかそういうのではないと思うよ。そもそも神隠しっていうのは狐や天狗、鬼なんかが結婚相手を探すためにさらったっていう話が多いし、ましてやそんな町中で起こるなんてあまり聞かないからね。」
希望が1つ消えた。
しかし、Aは続けた。
「でも、行方不明=死亡とは限らないでしょ?例えば漫画やアニメのように単にこの世界とは別の世界にいるのかもしれない。」
漫画やアニメのように?
一瞬Aもふざけているのかと思ったが真剣な顔のままだ。
「なら妹は別の世界に行った可能性もあるってこと?」
私はAに問いかけた。
Aは少しにやけて
「あぁ。」
と一言。すぐに真剣な顔に戻ると、
「しかし俺もその手の漫画やアニメはあまり詳しくはない。だから俺は俺で調べてみる。不謹慎だが少しワクワクしてきた。」
また一瞬だけにやけた。
正直私は何を言っているんだと少し呆れた。
が、もしかしたら、本当にもしかしたら別の世界に行って戻ってきたという人がいるのかもしれないと思ってしまう。
「私は私で調べることにする。」
「じゃあ何か進展があったら連絡しよう。これ、俺のメアド。実家の電話番号しか知らないんじゃあ連絡も取りにくいから。」
「確かに。まぁ何年も会ってなかったしAの実家の番号が変わってなくて良かった。」
そう言って私たちは別れた。
人に話したら気持ちが晴れた気がする。
とにかく一刻も早く見つけ出す方法を探さなくては!
家に着くと気持ちが晴れたせいかその日はそのまま眠ってしまった。